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朝日新聞社

美濃加茂市長無罪判決 発端から起訴に至るまでの過程を検証する

初出:2015年3月6日〜3月8日
WEB新書発売:2015年3月19日
朝日新聞

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 2015年3月5日、浄水設備の会社社長からの収賄容疑で起訴された岐阜県美濃加茂市の藤井浩人市長に対し、名古屋地裁は無罪判決を下した。捜査から起訴に至るまでの過程に、どんな問題があったのか。市長の取り調べは録音・録画されたものの、贈賄側とされた会社社長の取り調べは可視化されなかったことがどんな結果を生んだのか。地元の受け止め方はどうだったのか。前代未聞の事件を多面的に振り返る。

◇序 章 美濃加茂市長に無罪判決
◇第1章 市長「迷路抜け出せた」
◇第2章 業者の調書 開示し追及
◇第3章 市政混乱、くすぶる火種
◇第4章 貫いた「無実」届いた
 ・【藤井市長が手記】「はなたれ小僧」捜査で罵声や脅迫、不当逮捕、市民ら応援で乗り切れた


序章 美濃加茂市長に無罪判決

◎収賄事件「贈賄側証言、疑問」
 「全国最年少市長」と話題になった藤井市長は、市議だった2013年3〜4月、設備会社社長の中林正善受刑者(44)=贈賄罪や詐欺罪で実刑判決が確定=から浄水設備導入に向けて職員に働きかけるよう依頼を受け、見返りに2度にわたって現金計30万円を受け取ったとして、起訴された。
 公判では「市長に現金を渡した」などと認めた中林社長の証言の信用性が争われた。検察側は中林社長の金融機関の出入金記録や2人がやりとりしたメールの存在を指摘。中林社長の証言と一致すると主張していた。一方、藤井市長は「現金を受け取った事実は一切ない」と無罪を主張していた。
 判決は、1回目の現金授受に関する中林社長の捜査段階での供述の変遷を取り上げ、「強く印象に残るべきことなのに、不自然と言わざるを得ない」とした。さらに中林社長が捜査段階で2回目の現金授受を先行して自白し、公判で「1回目のことはよく覚えていなかった」と述べた点について、「賄賂を渡すのは非日常。渡したのなら記憶があったはずだ」と疑問を呈した。
 また、検察側が証言の支えとした出入金記録については、「賄賂の原資になりうるとしても授受を裏付けるわけではない」と指摘。中林社長が「なんでも遠慮なくご相談下さい」と送ったメールは、「さまざまな解釈ができる」と分析。賄賂の存在を示すとする検察側の見方を否定した。
 一方、藤井市長の弁護団が主張していた「供述の誘導」について、鵜飼裁判長は「捜査側と取引をした事実はうかがえない」と判断。中林社長が「虚偽」の説明をした背景として、当時、多額の詐欺事件の捜査が進められていたことを挙げ、「なるべく軽い処分になるよう、別の重大事件に目を向けさせようと考えた可能性がある」と指摘した。
 贈賄罪や金融機関への詐欺罪に問われた中林社長は別の裁判長が審理した。15年1月に懲役4年の実刑判決が言い渡され、すでに確定している。
 鵜飼裁判長は最後に「市政に尽力されることを期待します。頑張って下さい」と藤井市長に語りかけた・・・

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