【お知らせ】WEB新書は閉店しました。

スポーツ
朝日新聞社

甲子園もときめく「非」常連校 逆境だらけの球児たちの春

初出:2015年3月9日〜3月13日
WEB新書発売:2015年3月26日
朝日新聞

このエントリーをはてなブックマークに追加

 第87回選抜高校野球大会。この春も甲子園では熱戦が繰り広げられている。誰もが知っている強豪のぶつかり合いに沸く一方で、名の知れぬ、しかしながら野球や甲子園への思いや情熱では決して負けることはないという「非」常連校の姿もある。勉強の両立を求められる進学校、地元出身ばかりの公立校、他部と共用する狭いグラウンド……有り余るほどの逆境を跳ね返し、高校野球の聖地にたどり着いた球児たちが、今日も闘っている。

◇第1章 【松山東(愛媛)】 進学校、でも「泥臭く」
◇第2章 【豊橋工(愛知)】 初舞台へ、近隣校も一丸
◇第3章 【大曲工(秋田)】 「私学に負けない」結束力
◇第4章 【糸満(沖縄)】 ミス共有、みんなで修正
◇第5章 【米子北(鳥取)】 逆境嘆かず、基礎固め


第1章 【松山東(愛媛)】 進学校、でも「泥臭く」

 愛媛県松山市中心部。交差点を隔てて斜め向かいには、春2度、夏は5度の甲子園制覇を誇る松山商が見える。一方、こちらは県内屈指の進学校だ。
 「愛媛の代表、進学校の代表として行く。しっかり戦いたい」と主将の米田圭佑(新3年)。21世紀枠で立つ夢の舞台に、34人の部員は燃えている。
 82年ぶり2回目の出場は選抜史上最長のブランクとなる。部の歴史は松山商よりも古い。誕生は1892年。俳人の正岡子規が創部に関わったとも言われる。1949年9月から約2年半の間は松山商と統合し、50年夏には全国制覇も果たした。
 ただ、それ以降、甲子園から遠ざかった。
 練習の制限は多い。グラウンドはサッカー部などと共用のため、平日使えるのは内野部分だけ。本格的なフリー打撃や内外野の連係プレーなどは、週末しかできない。堀内準一監督(48)は「時間と場所をいかに効率良く使えるか、です」。


 そして、勉強との両立だ。期末試験が終わった3月上旬でも、遅い日は午後4時半まで授業がある。完全下校は7時10分。大会1カ月前からは20分だけ延長できるが、7時半には校門から出なければならない。
 そこから、塾へ通う選手もいる。遊撃手の石山太郎(新3年)は週6日、塾で2時間半勉強してから帰宅。ミカンなどを育てる実家の農園を継ぐべく、「品種改良の研究をする」という目標を持つ。「塾通いは入学時から。最初は大変だったけど、今は習慣になっています」。その表情は充実感にあふれる。
 ただ、伝統や進学校というだけで選ばれたわけではない。昨年、2014年は夏の愛媛大会、秋の県大会で準優勝。秋は夏の決勝で敗れた小松にリベンジするなど、戦いぶりも評価された。
 原動力は1年秋からエースの右腕、亀岡優樹(新3年)。5種類の変化球と制球力を駆使し、14年秋の公式戦7試合中6試合で完投した。「冬場は球速と変化球の質、精度の向上を課題にしてきた。甲子園でも泥臭く戦いたい・・・

このページのトップに戻る