スポーツ
朝日新聞社

相撲ガール 「パワーだけじゃない」女子中高生力士の熱い青春

初出:朝日新聞2015年4月2日〜4月19日
WEB新書発売:2015年4月30日
朝日新聞

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 女子相撲の人気が急浮上している。そんな中、国内だけでなくモンゴルからも「相撲留学生」を集める名門、私立鳥取城北高校(鳥取市)には、全国各地から女子の留学生が集まり、稽古に精を出している。親元から離れ、厳しい練習に励む女子力士たちの素顔に迫るルポ。

◇第1章 相撲女王へ、はっけよい
◇第2章 稽古に没頭、居場所見つけた
◇第3章 「強くなりたい」留学を決断
◇第4章 相撲、パワーだけじゃないんだ
◇第5章 弱音うっちゃり「やるしかない
◇第6章 けがで知った周囲の支え
◇第7章 スマホ動画で今夜もイメトレ
◇第8章 40キロ増量、父と世界をめざす
◇第9章 鍛えた足腰、重量挙げの道へ
◇第10章 自宅に稽古場、自分流の練習
◇第11章 年下に負け、やる気スイッチ
◇第12章 「五輪種目に」世界女王の願い


第1章 相撲女王へ、はっけよい

 ドスッ。
 私立鳥取城北高校(鳥取市)の土俵に、鈍い音が響く。相撲部員のぶつかり稽古で頭から突っ込むのは、3年生の柳瀬佳奈さん(17)。身長146センチ、体重51キロ。紺色のスパッツの上からまわしを着けた女子だ。
 「遅い! (まわしを)取られてモタモタするんじゃない」
 「もっともっと当たって押し込まないとダメ」
 コーチの藤原愛教諭(26)から大きな声が飛ぶ。稽古で胸を貸した堤勇磨さん(18)は「女子とは思えないくらい鋭い立ち合い」。2015年春、拓殖大相撲部員となる173センチ、120キロの巨漢が、そう感心していた。
 毎日ベンチプレスで筋力トレーニングをする柳瀬さん。この日は20キロのバーベルを20回持ち上げた。これを5セット。さらに20キロ重くして続けた。
 小学校のとき、二つ年上の姉がわんぱく相撲に出場したのを見て憧れた。「一瞬ではっきりと勝負がつくのが面白い」


 鳥取城北高相撲部は、大相撲春場所で白鵬ら1横綱2大関を破り、13勝2敗だった関脇照ノ富士や、逸ノ城の母校。国内だけでなくモンゴルからも「相撲留学生」が集まる名門だ。柳瀬さんも長野県から「留学」した。近くの市立西中学校の相撲部員とも一緒に練習する、いわば「相撲の中高一貫教育」。中学、高校を合わせて30人近い相撲部員がおり、女子は中学の2人を含めて5人だ。
 鳥取城北高では4年前、大学時代に女子相撲の選手だった藤原さんが母校に赴任したのを機に、女子選手の育成にも力を入れている。高校生のとき体育の先生に勧められ、身近に男子の高校チャンピオンがいたことなどから相撲を始めた藤原さん。「どんなに苦しい稽古をしても勝負は一瞬。逆にそこにだいご味がある。一瞬にかける集中力と精神力を生徒にも伝えたい」と言う。
 最近は、テレビなどで選手が取り上げられる機会も増えてきた。街で知らない人から、「先生、どすこい!」と声を掛けられることも。藤原さんは全国大会で活躍した子どもたちをスカウトし、「6年計画で強くする」と意気込む。
 山形県の小学校を卒業した宮原望羽(みう)さん(12)は、全国大会優勝の実績を持つ。4月から西中に通う。三重県が実家の西中2年、角田(かくだ)奈那さん(13)も小学生チャンピオンだった。「相撲一家」で育ち、父も兄も弟も相撲経験者だ。
    ◇
 高校の部員や県外から西中に来た「留学生」は寮や下宿で生活するが、夕食は稽古場で30人近い部員が一緒に食べる。
 稽古が終わる午後6時過ぎ、マネジャーが中心となってちゃんこ鍋を作る。鶏の手羽肉4〜5キロ、キャベツ2〜3個、豆腐10丁、こんにゃく1キロ、肉まん16個も大鍋でぐつぐつ煮える。しょうゆ味だったり、みそ味だったり。石浦外喜義(ときよし)監督(53)の実家から送られるコメを毎回4〜5升ガスで炊く。さらに、スパゲティーナポリタン。「サイドメニュー」だという・・・

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相撲ガール 「パワーだけじゃない」女子中高生力士の熱い青春
216円(税込)

女子相撲の人気が急浮上している。そんな中、国内だけでなくモンゴルからも「相撲留学生」を集める名門、私立鳥取城北高校(鳥取市)には、全国各地から女子の留学生が集まり、稽古に精を出している。親元から離れ、厳しい練習に励む女子力士たちの素顔に迫るルポ。[掲載]朝日新聞(2015年4月2日〜4月19日、11400字)

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