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世相・風俗
朝日新聞社

捨てられる墓の墓 世話する人がもういません

初出:2014年6月2日、7月30日、9月11日、9月12日
WEB新書発売:2015年6月25日
朝日新聞

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 JR高松駅から車で30分の山中にの空き地に墓石1万個が並ぶ。淡路島には不法投棄された墓石が高さ4mの山積みに。そのまま捨てられるのは「破砕するには手間と金がかかる」かららしい。過疎化・少子化・未婚化が進むいま、無縁墓が増えている。熊本県人吉市では4割超。大阪市営墓地では4095区画の無縁墓を撤去した。親から子へ墓を継ぐのは、もう時代に合わないのだろうか。

◇第1章 無縁化、さまよう墓
◇第2章 少子化、墓守が不在
◇第3章 守り継ぐため、墓を引っ越す
◇第4章 埋葬のかたち、広がる選択
◇第5章 葬儀や墓、現代社会の試み


第1章 無縁化、さまよう墓

◎不法投棄続々、「墓の墓」も
 先祖代々受け継がれてきた墓が受難の時を迎えている。墓守が絶えた無縁墓から撤去された墓石は、慰霊の場を離れ、さまよう。人里離れた山中に“墓の墓”が現れ、不法投棄も後を絶たない。
 高松市のJR高松駅から車で30分の山中に“墓の墓”がある。約1ヘクタールの空き地にコンクリートで固めた最大幅100メートル、高さ15メートルの扇状の巨大なひな壇が設けられ、壇上に墓石1万基が並ぶ。
 「古石材預り所」と称する管理者(52)によると、中四国や関西の寺から撤去された墓石を石材店などの業者が持ち込んでくる。家庭の事情で墓を引き払い不要になった墓石のほか、無縁墓もある。1基1万円で受け入れ、最近は年300基ほど集まる。クレーン機で石を整然と並べ、定期的に雑草をとる。「ここ数年でどんどん増えている。もうけはないが、やめたくてもやめられない」。まだ9万基収容できるという。
 一方、不法投棄された「墓の山」もある。兵庫県南あわじ市の山中には推定1500トンの墓石が山積みにされ、山の頂は高さ4メートルに達する。2014年6月半ば、県淡路県民局の職員3人が墓石に合掌しながら現場を見て回った。


 「比較的新しい墓もある。墓碑銘から、代々にわたり大切にされてきたんだろうなと思わせる墓もあります」。県民交流室の小塩浩司環境参事は言う。
 08年に廃棄物処理法違反容疑で逮捕・起訴された石材処理業者は、墓石の処分を安く請け負い、破砕などの適正処理をしないまま淡路島に捨てていた。県は撤去するよう指導するが、ほとんど手つかずのままだ。
 墓石の不法投棄は13年も広島県、京都府内で見つかり、ここ5年の間に茨城、千葉、兵庫など各県で業者が逮捕されている。
 不要になった墓石は通常、寺や霊園、石材業者が預かるか、処理業者が破砕処分する。だが別の方法をとる業者は少なくない。関東の石材店の社長は「破砕には手間と金がかかる。たたりを恐れて処分しない業者もいる」と話す。
 無縁墓はどれほどあるのか。全国的な調査はないが、熊本県人吉市は13年、全国でもまれな市内の全墓地995カ所の現況調査をした・・・

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