【お知らせ】WEB新書は閉店しました。

政治・国際
朝日新聞社

ゲバラ最期の24時間 殺害を命じたCIAエージェントの告白

初出:2015年5月26日〜6月10日
WEB新書発売:2015年6月25日
朝日新聞

このエントリーをはてなブックマークに追加

 キューバが半世紀にわたって敵対してきた米国との国交正常化に動き出した。社会主義体制をもたらしたキューバ革命を主導したチェ・ゲバラは、いまだに世界中で根強い人気のある存在だが、その評価はこれから変わるのだろうか。彼の殺害を命じたCIAエージェントのインタビューを踏まえ、知られざる革命家の最期の姿を改めて探る。

◇序章 最期を知る元CIA工作員
◇第1章 CIA命令は『生け捕り』
◇第2章 拘束翌日、暗号に「死」
◇第3章 「首から下を狙え」
◇第4章 閉じなかった両眼
◇第5章 「撃つな、私はチェだ」
◇第6章 兵士の手当て申し出た
◇第7章 「革命に国境はない」
◇第8章 「即時処刑」で終わらせる
◇第9章 託されたロレックス
◇第10章 「影武者か」指紋を照合
◇第11章 ともに戦い生き延びた男
◇第12章 仲間かばい、逃げ場失う
◇第13章 脱出ゲリラ、チリで歓迎
◇第14章 弱る体力、情熱は失わず
◇第15章 武器集め、支えた女性


序章 最期を知る元CIA工作員

 中米パナマで2015年4月10、11日に開かれた第7回米州サミット。キューバ国家評議会議長のラウル・カストロは48分間にわたった長い演説で突然、ゲバラの名前を出した。
 1959年にラウルの兄フィデル・カストロとともにキューバの親米政権を倒し、67年にボリビアで殺された革命家だ。ラウルは「チェを殺し、指紋を照合するため、切断された両手を持ち去ったCIA(米中央情報局)工作員のロドリゲスが、このパナマに来ていた」と非難した。


 CIAの工作員だったフェリックス・ロドリゲス(73)。キューバ系米国人で、ゲバラを追ってボリビアに行った。
 米マイアミの自宅でゲバラについて尋ねると、「彼は間違っていた」と即答した。ただ、ゲバラと最後に話した際は、「理想を信じて戦ったことは称賛する、と本人に伝えた」と打ち明けた。
 4月にパナマに行った理由は、サミットに合わせて「キューバの現政権は民主的に選ばれた政府ではないと抗議するため」だったと言う。米国とキューバの和解についても、「キューバ現政権を延命させることになる」と反対した。

◎射殺、狙う箇所まで指示
 キューバ国家評議会議長のラウル・カストロに、チェ・ゲバラを「殺した男」と名指しされた米中央情報局(CIA)の元工作員フェリックス・ロドリゲス(73)。自宅を訪ねた記者に、ロドリゲスは金庫から一丁のピストルを取り出して得意げに見せた。
 「これが、ゲバラが死ぬ直前に吸った葉巻の吸い殻だ」
 銃把(グリップ)にはめ込んだ直径1センチほどの透明なケースに、黒いかすがあった。


 自宅の壁には、第41代米大統領を務めたジョージ・H・W・ブッシュがCIA長官だったころにもらった表彰状や、ベトナム戦争に参戦したころの写真などが飾ってある。


 スクラップ帳をめくりながら、「これはゲバラが使っていた暗号。これは、ゲバラと一緒にいて死んだゲリラの遺体の写真だ」と懐かしそうに語る。指紋を照合するため、ゲバラの遺体から切断された両手の写真もあった。全ての指先がインクで黒い・・・

このページのトップに戻る