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世相・風俗
朝日新聞社

熟年婚あきらめません 性的関係、不成立でも笑い飛ばせ

初出:2011年6月24日〜6月27日、2014年2月14日、2月15日
WEB新書発売:2015年6月25日
朝日新聞

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 「二度目の青春のように華やいだ」と72歳女性は振り返る。仲間とのバス旅行で「ご一緒に」と声を掛けたのがきっかけ。同じ布団に入ったが、性的関係は不成立。「無駄な努力はやめよう」と笑い合った――。若い世代の結婚は減っているが、熟年の結婚は増えている。1980年に比べて60代男性の初婚は12倍に。24歳年下婚あり、事実婚あり、体験談のほか、「オムツ交換できるかが判断基準」などアドバイスも。(年齢、肩書は掲載時のものです)

◇第1章 再出発、踏み切って「幸せ」
◇第2章 壁超えて「最期」寄り添う
◇第3章 結婚観、男女で大きな溝
◇第4章 「あきらめない」が大切
◇第5章 [大人の婚活]念願、2人の再出発
◇第6章 [大人の婚活]この人と、今度こそ


第1章 再出発、踏み切って「幸せ」

 都内在住の男性勤務医(63)は「再婚して幸せ」と言う。10年以上交際した女性(39)と婚姻届を出したのが60歳。一線は退いたが、今も経験を生かして働く。夜は新生活を機にリフォームした一戸建てでくつろぐ。
 30代前半、長続きしない恋愛の繰り返しが面倒になり、5歳下の女性と見合いした。「悪くないか」。軽い気持ちで所帯を持った。
 妻の運び込んだグランドピアノが、狭いマンションの一部屋を占領した。まもなく娘、息子が生まれた。転勤命令で一家で地方に引っ越したが、やがて進学に備えて単身赴任にした。
 しばらくして、妻の教育方針に違和感が強まった。娘の中学受験では合格の可能性ゼロの名門校ばかり選ぶ。息子が高校を休みがちになった時は、「ちゃんと行け」と叱る自分を遮るように、脳の病気の名医探しに奔走した。
 そんな時、同じ職場の若い看護師が気になり始めた。責任感が強く、スポーツ好きな行動派。自立して働く姿はまぶしく、24歳差でも対等に話し合えた。
 夫の収入頼みで家を守る妻の生き方に、どんどん心が離れていく。何年も病院の当直室に寝泊まりした末、不倫を認めて慰謝料を払い、5年前に離婚した。
 いま、週末になると改築後の自宅に友人を招く。仕事を続ける妻が疲れを癒やすように犬をめでる横で、手製ローストビーフを自ら切り分ける。
 結婚のいきさつをあれこれ尋ねられるが、不快ではない。50代前、体力の衰えを感じたが、自然の美しさに敏感になった。妻が好きな音楽を聴くことも、分担でこなす平日の家事も楽しい・・・

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