【お知らせ】WEB新書は閉店しました。

医療・健康
朝日新聞社

肛門を残したい! ポリープで安心していたら……直腸がんとの戦い

初出:2015年5月12日〜5月16日
WEB新書発売:2015年7月2日
朝日新聞

このエントリーをはてなブックマークに追加

 大腸のポリープ切除から約4年。おなかの調子に異変を感じるようになった。今までよりも便が細く、下痢と便秘を繰り返すように……。「何かおかしい」。検査を受けたところ、抱いていた不安は的中。そこから、札幌市の会社員(48)の戦いは始まった――。最初の病院で告げられた「人工肛門」の宣告、そこからセカンドオピニオンを求め、なんとか肛門を残すことに成功するまで、直腸がんとの戦いの様子を詳細にレポートする、リアル闘病ドキュメント。

◇第1章 「良性」切除、3年で異変
◇第2章 「ほぼ100%、人工肛門」
◇第3章 遠隔地での治療を決心
◇第4章 詳しいリスク説明に納得
◇第5章 普通に働く日々が戻る


第1章 「良性」切除、3年で異変

 札幌市に住む会社員の大島悟史(おおしまさとし)さん(48)は、福岡県の営業所に勤めていた2009年秋、会社の定期健診で、いつものように便の潜血検査を受けた。結果は「陽性」。精密検査を受けることになった。
 年が明けてすぐ、県内の病院で生まれて初めて大腸内視鏡の検査を受けた。肛門(こうもん)から入れた内視鏡のカメラ映像を見て、医師が言った。
 「大腸にポリープが二つあります。おそらく良性だとは思いますが」
 そのまま内視鏡を使って、ポリープを切除してもらった。
 「年に1回くらいのペースで、検査に来てくださいね」
 大島さんは、医師からそうアドバイスを受けた。
 後日、切り取った大腸のポリープの検査結果が出た。医師の見立て通り、二つとも「良性」だった。もしかして、がんではないかと心配していた大島さんは、検査結果を聞いてホッとしたのを覚えている。
 大腸のポリープを取ってから1年余りたったころ、会社の産業医と面談する機会があった。
 「内視鏡の検査はやった方がいい。ただ、今のところ便の潜血反応は出ていませんね」。定期健診の結果を説明する産業医に、大島さんは「なるべく早いうちに、また検査を受けますよ」と答えた。
 しかし実際には、大腸内視鏡の検査を受けることがないまま、月日が過ぎていった。12年夏には、福岡から札幌に転勤になった。
 「転勤もあって慌ただしく、会社を休んでまで検査に行くという心の余裕が、ありませんでした」
 その後の定期健診でも、便の潜血反応が出ることはなかった。
 おなかの調子に異変が起きたのは、翌13年のことだった。
 今までよりも、便が細くなったように思えた。そして、下痢と便秘を繰り返すようになった。
 そうした状態が2、3カ月も続き、便の色が黒く変わっていった。このときすでに、血便が始まっていた。
 「何かおかしい」。そう感じた大島さんは、札幌市内の病院へ大腸内視鏡の検査を受けに行った。抱いていた不安は、的中した・・・

このページのトップに戻る