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社会・メディア
朝日新聞社

『絶歌』出版をどう考えるか 5人の識者が問う

初出:2015年6月11日〜6月30日
WEB新書発売:2015年7月9日
朝日新聞

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 神戸市の連続児童殺傷事件の加害男性(32)=事件当時14歳=が書いた手記『絶歌』(太田出版)がベストセラーになっている。遺族は出版中止と回収を求めたが、出版社は「社会的な意味がある」として増刷を決めた。重大事件の加害者が事件を題材にした本で利益を得ることは許されるのか? 社会は、これをどう受け止めればいいのか? 犯罪加害者が著書の出版などで得た利益を被害者遺族の手にわたりやすいようにする米NY州の「サムの息子法」に学ぶところはないのか? 森達也氏、諸澤英道氏、荻上チキ氏、斎藤環氏、武田徹氏などの意見を交えて、多角的に切り込む。

◇第1章 遺族「私たちの思い無視。出版中止を」
◇第2章 神戸殺傷、元少年手記に波紋
◇第3章 加害者は語りうるか
◇第4章 何が読み取れるのか


第1章 遺族「私たちの思い無視。出版中止を」

◎神戸児童殺傷、元少年の手記刊行
 神戸市で1997年に起きた連続児童殺傷事件の加害男性(32)=事件当時14歳=が、「元少年A」の名で書いた「絶歌」(太田出版)が2015年6月10日、刊行された。書店に問い合わせが相次ぐ一方で、遺族は出版中止と回収を求めるコメントを出した。
 東京・神田の三省堂書店神保町本店には問い合わせや予約の電話が相次いだ。10日昼から店頭に並べると、3時間あまりで15冊以上売れた。副本店長の松下恒夫さん(49)は「売れ方は村上春樹さんの新刊と同じくらいの勢い。年月が経っているのに忘れられていない事件だと分かる」と話す。
 購入したアルバイトの女性(40)は「元少年がどういう結論を出したのか、反省しているのかが知りたかった。遺族側の話しか分からなかったので、本人の思いを読んで考えてみたい」と話した。

◎「社会考える契機に」/出版社社長
 太田出版の岡聡社長は「ご遺族の気持ちを傷つけたことは重く受け止める。正式な申し入れがあれば対応を検討したい。読者からはお叱りの電話をたくさんいただいたが、当事者が書いたものを発信することが今の社会を考えるきっかけになるとの思いで出版した」と話している。

■土師淳君の父、コメント全文
 殺害された土師(はせ)淳君(当時11)の父・守さん(59)のコメントは次の通り。
 加害男性が手記を出すと言うことは、本日の報道で知りました・・・

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