【お知らせ】WEB新書は閉店しました。

教育・子育て
朝日新聞社

脇道にそれて人生変わった 高校中退で明るく開けた未来

初出:2015年5月21日〜5月24日
WEB新書発売:2015年7月9日
朝日新聞

このエントリーをはてなブックマークに追加

 「高校は命をかけて行くところじゃないんだよ」……。日本の高校進学率は98%。しかし、入った高校に馴染めなかったり、勉強自体に興味を持てなかったり、様々な事情で「中退」という選択肢を選ぶ生徒がいる。だが、脇道へそれることは、必ずしも悪いことではない。まっすぐ進んでいたら見えなかった光景を目にして、進むべき道を見つけた子供もいる。いじめ、たばこ、妊娠、仕事……「脇道」に光を見つけた生徒たちの群像ルポ。

◇第1章 高校移り、笑顔戻った
◇第2章 たばこで退学、大学へ再起
◇第3章 中退・出産して夢がみえた
◇第4章 高1で中退、仕事の道歩む


第1章 高校移り、笑顔戻った

 2015年4月、東京都板橋区のビル。広域通信制の「ウィッツ青山学園高校」東京キャンパスに、3月まで学んだ都内の男子生徒(18)の姿があった。教員らと夕食に出る前に、ブロックのタワーを積み直すゲーム「ジェンガ」を楽しんでいた。
 「罰ゲームはセミのまねね」。キャンパス代表の杉浦孝宣さん(55)がそう言ってブロックを積む。「あーっ」。タワーが倒れる前に杉浦さんの悲鳴が響き、みんなの歓声が続いた。
 この生徒は高校2年生だった14年11月、都内の私立高校から転校して来た。その約4カ月後、志望する都立高校定時制課程の試験に合格。三つ目の高校に3年生として通い出した。
 転校の理由は、同級生からのいじめだ。仲の良かった友人をいじめていたグループと、当初は距離を置いていた。だが、カラオケなどに一緒に遊びに行くのを断り続けていたら、矛先が自分に向いてきた。
 授業中、いじめグループの生徒たちの声が背中越しに聞こえてきたのを今も思い出す。
 「あいつのこと、どう思う」
 「死ね」
 陰で、でも聞こえるように嫌なことを繰り返され、1年生の終わりごろから学校に行くのが苦になった。日曜の夜は月曜が怖くて眠れない。道を歩いていてもすれ違う人が自分をあざ笑っているようで、自分に問題があるのでは、と思えた。このままでは自分を殺しかねない。学校をやめたい。でも将来に響くことが心配だった・・・

このページのトップに戻る