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教育・子育て
朝日新聞社

英語は何歳からがいい? 明治から続く論争

初出:2015年5月14日、5月31日、6月1日、7月6日
WEB新書発売:2015年7月16日
朝日新聞

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 英語を学び始めるのは早ければ早いほどいいのか。まずは日本語力を身につけないと中途半端になるのか。明治時代から続く論争は決着がつかない。「早いほど良い」という主張は、実証されているのだろうか。有識者らのインタビューを交え、加速する小学校での英語教育を考察する。

◇英語教育、早いほどいいの?
◇小1の春、すぐ英語
◇英語デビュー 早期教育、私はこう思う
◇小学校の英語/関東学院大学教授・金森強さん


英語教育、早いほどいいの?

 英語を学び始めるのは早いほどいいのか、十分な日本語力がついてからの方がいいのか。長年の論争に決着がつかないまま、英語教育の早期化は着々と進んでいる。グローバル化の時代に、小学校の英語教育はどうあるべきなのか。

◎明治から論争続く
 論争は、明治時代にさかのぼる。西洋の文化や知識を学ぶための実学英語が重視され、一部の小学校で英語が教えられた。これに対し、英文学者の岡倉由三郎は、日本語を習得する途上の子どもにとって弊害になる、と批判した。
 第2次世界大戦が終わると、英会話ブームが到来。高校・大学進学者の急増とともに、文法・訳読が中心の「受験のための英語」が定着していく。
 やがて財界からも注文が出始め、高度成長途上の1950年代半ばには、日本経営者団体連盟が「役に立つ英語」への転換を要望した。「グローバル人材」の育成を求める声が次第に強まり、2000年には経済団体連合会が小学校からの英語教育を提言した。
 「中学高校で6年勉強しても、さっぱり話せない。せめて子どもには」という親たちの思いも、早期化の背景にある。朝日新聞社とベネッセ教育研究開発センターが実施した12年の共同調査では、保護者の86・4%が「小学校での英語学習」に賛意を示した。
 ただ、「英語の学習開始は早ければ早いほど良い」という主張は、きちんと実証されていない。米ペンシルベニア大学教育学大学院のバトラー後藤裕子准教授(教育言語学)によると、幼くして英語圏に移住した子には当てはまるとする研究結果が少なくないが、日本語環境では「良質かつ大量の英語のインプット」がない限り、むやみに早期に導入してもあまり効果はないと考えられるという。
 文部科学省は20年度、小5から週1コマ学ぶ「外国語活動」を小3からに早め、小5からは教科にする方針だ。学習指導要領の改訂などを経て、18年度から段階的に実施する。だが、教科として教えられる教員の確保や成績のつけ方など、課題は山積みだ・・・

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