文化・芸能
朝日新聞社

「最初の2行でヒットを確信」 「舟唄」を見た八代亜紀

初出:朝日新聞2015年8月17日〜8月28日
WEB新書発売:2015年9月10日
朝日新聞

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 1971年デビューの演歌歌手・八代亜紀。故郷の熊本県八代(やつしろ)市にちなんで芸名をつけた。10代の頃は親に内緒でキャバレーで歌い、デビュー後、歌唱力を競うテレビ番組で、審査員だった淡谷のり子に「あなたの声は歌手には向いていないわ」と酷評されたこともある。1979年のヒット曲「舟唄」(阿久悠作詞)では、歌詞の冒頭の2行を読んで「大ヒットを確信した」。そんな八代亜紀が、生い立ちやヒット曲との巡り合い、父との死別、夫との出会いなどを語った。

◇第1章 間近で学んだ大スターの振る舞い
◇第2章 嫌だった、父譲りのハスキーボイス
◇第3章 クラブシンガーの夢追い、父から勘当
◇第4章 キャバレーで売り歩いたデビュー曲
◇第5章 歌謡選手権、捨て身で歌いきった
◇第6章 阿久悠さんと駆け抜けた時代
◇第7章 トラブル続き、「歌いたくない」とも
◇第8章 夢に見てから意識、自らプロポーズ
◇第9章 自分自身や思い出、絵に投影
◇第10章 80歳の「舟唄」も聞かせたい


第1章 間近で学んだ大スターの振る舞い


 ――ご自宅近くの商店街を歩くと、あちこちでポスターを見かけました。

 新曲の発売やコンサートがあると近所の皆さんが応援してくれるのです。夫(元マネジャー)が学生時代から通っている中華屋さんもなじみのお店です。少し日本を離れただけで帰りの飛行機の中で「あー、食べたい」って思ってしまいます。シャキシャキのモヤシがたっぷり入った熱々のラーメンをフーフーいいながらスタッフと一緒に食べます。私の元気の源です。

 ――テレビのバラエティー番組にもよく出ています。

 負けず嫌いで頑固な性格ですが「天然」なところもあるんです。のんびりしているというか、人を疑うことがないのです。超マイペースな超アナログ人間。携帯電話もパソコンも持っていません。

 ――自宅には思い出の品がたくさんあります。

 「846」という数字が書かれたバットを宝物にしています。通算本塁打868本の世界記録を持っている王貞治さん(元プロ野球巨人、現ソフトバンク球団会長)が846号の本塁打を打ったときのバットです。

 ――846とは「八代(やしろ)」ですね。

 きっかけは1979年暮れ、テレビ番組「スター千一夜」のパーティーでした。その席で王さんといろいろなお話をしたのです。私の名前が「八代」なので「846号の本塁打はいつごろになりますか」と尋ねたら「うーん、来年の5月くらいですかね」とおっしゃいました。そうしたら本当に翌年5月に846号の本塁打を放ち、そのバットを贈ってくださったのです。

 ――長嶋茂雄さんのファンでもあります。

 後ろ姿が、亡き父に似ているのです。特にうなじの辺りはそっくり。背番号3のジャンパーをプレゼントされたこともありました。それも我が家の家宝です。

 ――2014年は俳優の高倉健さんが亡くなりました。

 東映のスター俳優だった健さんは各地でディナーショーも開いていました。歌うのは「網走番外地」「唐獅子牡丹(からじしぼたん)」など映画主題歌。私は前座を務める「前歌」でした。
 レコードが売れずに地方回りをしていたころです・・・

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「最初の2行でヒットを確信」 「舟唄」を見た八代亜紀
216円(税込)

1971年デビューの演歌歌手・八代亜紀。故郷の熊本県八代(やつしろ)市にちなんで芸名をつけた。10代の頃は親に内緒でキャバレーで歌い、デビュー後、歌唱力を競うテレビ番組で、審査員だった淡谷のり子に「あなたの声は歌手には向いていないわ」と酷評されたこともある。1979年のヒット曲「舟唄」(阿久悠作詞)では、歌詞の冒頭の2行を読んで「大ヒットを確信した」。そんな八代亜紀が、生い立ちやヒット曲との巡り合い、父との死別、夫との出会いなどを語った。[掲載]朝日新聞(2015年8月17日〜8月28日、12100字)

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