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医療・健康
朝日新聞社

どう変わった介護保険 制度改正のポイントと課題

初出:2015年7月22日〜8月1日
WEB新書発売:2015年9月17日
朝日新聞

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 介護保険制度が始まったのは2000年春。少子高齢化や核家族化で社会の姿が変わり、それまで家族の誰かが世話していた高齢者を社会全体で介護する必要が出てきたからだ。しかし、財政負担は軽くなく、2015年8月から制度が少し変わった。最大のポイントはサービス利用者の自己負担が1割から2割にアップ(利用者の年収により制限あり)したことだと言われる。制度の変更点や課題をまとめてみた。

◇第1章 自己負担、増える?
◇第2章 食費や部屋代、補助の対象者減るの?
◇第3章 特養に入居できる人が絞られるの?
◇第4章 「要支援」向けサービスが変わるの?
◇第5章 「在宅」を政府は促しているの?
◇第6章 認知症の人、どう支援?
◇第7章 保険外のサービスもあるの?
◇第8章 職員が不足しているの?


第1章 自己負担、増える?

◎「一定の所得」あれば2倍
 千葉県袖ケ浦市の「かずさ介護支援センター」に勤めるケアマネジャーの江沢直紀さんは最近、ともに80歳代の男性利用者2人の家族から同じ問い合わせを受けた。「どうして負担が2倍になるのか」。市役所から届いた「介護保険負担割合証」に、2015年8月からサービス利用料の自己負担が2割になると記されていた。
 介護保険サービスを使うと、利用者は原則として料金の1割分を払う。この自己負担割合はサービスが始まってから変わらなかったが、8月から一定以上の所得がある人は2割になる。
 男性2人はデイサービスや訪問入浴などを毎週使い、月約7千〜8千円を負担。これが、倍増する。江沢さんが説明すると、家族らは「しょうがないですね……」と話したという。
 自己負担割合が1割か2割かは、住んでいる市区町村が15年から毎年発行する負担割合証でわかる。市区町村民税の額に基づき、8月1日を基準日に判定。7月中旬ごろから順次発送され、7月末までに手元に届くことになっている。
 「一定以上の所得」とは、単身で収入が年金だけなら年間280万円以上。1割か2割かの判断は世帯ごとではなく、個人ごとに行う。たとえば夫婦の年金収入が合計で400万円で、夫の分が280万円、妻が120万円なら、自己負担は夫が2割、妻は1割になる。200万円ずつなら、2人とも1割になる。
 介護サービス費は、利用者の自己負担のほか、税金や40歳以上が払う保険料で賄われる。高齢化で利用者が急増し、財政負担は重くなっているため、負担できる人には多めに払ってもらおうというのが狙いだ。
 8月から2割負担になるのはどれくらいか――。厚生労働省は、在宅サービスの利用者で15%、特別養護老人ホーム(特養)の入居者で5%ほどと見込む。
 東京都立川市の特養「至誠ホーム」では、150人いる入居者の1割弱が2割負担になるとみて、15年5月に家族向けの説明会を開いた。「負担が2倍になる人もいる」と伝えたが、「どの人も自分に引きつけて理解するところまで行かなかった」(橋本正明理事長)。9月に8月分を請求されるなどした時に初めて負担増を実感し、驚く人が続出するのではと懸念する・・・

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