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朝日新聞社

証拠改ざん事件が変えた司法 電子鑑識、保釈の増加、捜査的弁護から見る変化

初出:2015年9月21日〜9月23日
WEB新書発売:2015年10月8日
朝日新聞

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 現厚生労働事務次官・村木厚子さんの冤罪事件に発展した大阪地検特捜部の「証拠改ざん事件」が、朝日新聞の調査報道で発覚してから5年の月日が流れた。事件の教訓を受けて、刑事司法の現場は、スマホやパソコンのデータから客観的な証拠をつかむ「デジタルフォレンジック(電子鑑識)」「勾留却下」「保釈率の増加」「捜査的弁護」といった面で大きな変化を経験している。検事総長の引責辞任につながった大きなスキャンダルが、何をもたらそうとしているのか。現場からレポートする。

◇第1章 特捜変えた電子鑑識
◇第2章 人質司法、見直す兆し
◇第3章 自ら「捜査」攻めの弁護


第1章 特捜変えた電子鑑識

◎供述至上主義から脱却図る
 「ここから先は、特捜部長であっても検察官は一人では立ち入れません」
 大阪地方検察庁が入る大阪中之島合同庁舎(大阪市福島区)16階。表札のない部屋の前で、特捜部の事務官がそう説明した。ドアを開けると約50平方メートルの一室にパソコンやモニターがずらり。事件で押収したパソコンやスマートフォンのデータ解析を担う最前線だ。
 2015年9月11日、特捜部が報道陣に公開したデジタルフォレンジック(DF)室。DFとは「電子鑑識」の意味だ。事務官が模擬のスマホを特殊な機器につなぐと、データのコピーは約10分で完了した。消去されたメールや通話履歴も復元できる。位置情報の履歴から、スマホの持ち主がいつどこにいたのかまで分かる。


 この部屋ができたのは、10年9月に発覚した当時の特捜主任検事(48)による証拠改ざん事件がきっかけだ。郵便不正事件で押収したフロッピーディスクの日付データを捜査の見立てにあうよう自らの手で書き換えていた。再発を防ぐため11年6月、大阪、東京、名古屋の各地検特捜部にDF室が置かれた。
    ■   ■
 司法界に激震が走った前代未聞の事件。その反省から本格的に始まったDF捜査は、特捜部の捜査手法そのものをがらりと変えた・・・

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