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教育・子育て
朝日新聞社

体育の教科書、売れてます 遊ばない小学生にどう教える

初出:2015年10月8日〜10月10日
WEB新書発売:2015年10月22日
朝日新聞

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 遊びで基本的な動きを身につけていない子どもが増えたいま、体育をどう教えればいいのか。困惑する教員たちにヒットしたのが山と渓谷社が発行した「体育の教科書」だ。教育現場では、表現ダンスを取り入れたり、フラフープや的当てなど遊びの要素を加えたり、工夫が重ねられている。小学校体育の現状と課題をリポート。

◇第1章 体育の教え方、教えて
◇第2章 運動苦手でも楽しく
◇第3章 運動のコツ、遊びから


第1章 体育の教え方、教えて

◎校内で勉強会/「指南書」人気
 「ボール運動の指導がうまくいかない」「水泳はどうしたらいいのか」
 放課後の教室で、20代の小学校教諭が次々と質問した。東京都杉並区立桃井第三小の体育授業勉強会。「みんなが大縄を跳べるようになるにはどうしたら」との質問には、講師を務めた教諭が実際に縄を回して跳ばせ、コツを伝授した。


 「児童に何を身につけさせるのか分からない若手教諭もいる」。末永弘校長の発案で、同小は2015年度、勉強会を3度開くことにした。7月は若手10人弱が受講。参加者の一人は「運動経験がなく、指導の引き出しがない」と漏らした。

保護者向けが…
 遊びを通じて様々な動きを会得した時代と違い、基本的な体の動かし方が身についていない児童もいるなか、体育をどう教えればいいのか。そんな教師の悩みは、意外な本の売れ行きにも表れている。山と渓谷社が08年に発行した「体育の教科書」。「子どもにかけるとグンとうまくなる『魔法のひとこと』教えます」をキャッチコピーに、運動が苦手な子どもを持つ保護者を狙った。
 ところが実際には書店の教育コーナーに置かれ、教諭によく売れたという。「教育書でケタ違いの売れ行き。とっつきやすい指南書が必要なんでしょう」と企画担当者は言う。小学校体育には教科書がなく、日体大の白旗和也教授は「学習指導要領の次期改訂を機に導入すべきだ。教科書があれば教師は具体的な知識を得られる」と主張する。
 また、早大スポーツ科学学術院の友添秀則院長は「団塊世代が大量退職し、経験がうまく引き継がれていない」と指摘する。各教科共通の課題だが、国語、算数などに比べ体育は後回しにされがちだ。
 そもそも、採用試験で体育実技を課さない自治体が徐々に増えている。13年度採用で10都道府県・政令指定都市だったのが、14年度が11、15年度は12に。受験生を多く集めるため、試験の負担を減らす狙いが背景にある・・・

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