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文化・芸能
朝日新聞社

テレビの時代はどのように終わるか 60年の歴史をたどる

初出:2015年10月7日〜10月16日
WEB新書発売:2015年10月29日
朝日新聞

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 日本でテレビ放送が始まったのは1953年。またたく間にラジオや新聞をしのぐメディアの王者になったが、それは多くの人たちの血のにじむような努力の結晶でもあった。一方、インターネットなどの新しいメディアが登場した現在、テレビは曲がり角にあるのかもしれない。黄金時代を築いてきた人たちの間には、今のテレビを「守りに入っている」「新しいことをやる気概がない」などと評する声もある。

◇第1章 「生き残る」? 守りに入るな
◇第2章 笑点の向こうに
◇第3章 反骨心の塊、昭和10年生まれ
◇第4章 女性キャスターの時代へ
◇第5章 戦争報道、フリーが支えた
◇第6章 昔にもどる未来もある
◇第7章 自主・自律の初心にかえれ


第1章 「生き残る」? 守りに入るな

 まず、鼎談(ていだん)風に話を聞こう。
 NHK解説委員の柳澤秀夫(62)と、TBS執行役員の金平茂紀(61)。ともに記者で海外取材の経験も豊かだ。柳澤は総合テレビの生活情報番組「あさイチ」、金平はTBS系の「報道特集」でそれぞれキャスターを務める。

 ――還暦をすぎて、いまのテレビで気になることは?

 ――金平 若い人までが「テレビってこんなもんだ」と規格化し、可能性を封じ込める方向に行ってる気がするね。

 ――柳澤 ぼくも同感。「テレビはどう生き残るか」なんて守りに入っちゃってる。前に踏み込んで、新しいことをやる気概が感じられない。


 ――「可能性」はそもそもどこにあるんだろう。

 ――金平 一言でいえば、同時体験。テレビで同じ事象を体験し、国民的な公共の記憶になっていく。例えば3・11の映像の記憶が「あんなこと繰り返しちゃだめ」という感情につながる。すごい力だよ。

 ――柳澤 そのリアルタイムな同時体験こそが、テレビの最大の武器だね。限られた画角で切り取られた映像が独り歩きする怖さも自覚したうえで、どう表現するか。もっともっと工夫しないと。

 ――自分の番組では、やりたいことをやれているの?

 ――柳澤 もっと現場に出たいと思うけど、生活情報番組だからねえ。でも、誰のために何を伝えるかという基本、責任感は変わらない。

 ――金平 「あさイチ」は、お堅いNHKで、夫婦のセックスレスとか、やんちゃをやってるのがいい。

 ――民放の方が自由かな。

 ――金平 いやあ、どんどん不自由になってるよ。でも、自分自身の現場主義は貫いている。この間も、ドイツでシリア難民を取材し、放送日の朝6時に羽田空港に着いた。番組は夕方だからって、そのままヘリで飛んで、上空から鬼怒川の決壊をリポートした。

 ――若い人にまかせようとは思わない?

 ――金平 思わない。いい年したおっさんが行くと、安心して本音を話してくれるってことあるんだよ・・・

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