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教育・子育て
朝日新聞社

馬の学校に入る子どもたち 競馬・競馬ゲーム人気で増加中

初出:2015年10月8日〜10月11日
WEB新書発売:2015年10月29日
朝日新聞

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 競馬ブームや競馬ゲーム人気で、日本の乗馬人口と乗用馬は、増加傾向にある。乗馬クラブの会員数は、1989年の約3万4千人から2010年には、7万1千人に。同じ時期、乗用馬の数も、8千頭から、1万6千頭に倍増した。成田空港近くの乗馬クラブ兼牧場「アニマル・ベジテイション・カレッジ」には、馬に関わる仕事を目指す若者たちが全国から集まる。いわば馬の専門学校だ。騎手、厩務員、インストラクター……馬の死など、つらい現実にも向き合いながら成長する子どもたちに迫った。

◇第1章 馬と歩む道、選んだ
◇第2章 ご飯少なめ、勝る騎手の夢
◇第3章 雌馬の死から、見据えた進路
◇第4章 もっと知りたい、人に教えたい


第1章 馬と歩む道、選んだ

 東京ドーム2個分ほどの敷地にサラブレッドが約250頭。成田空港の近くにある乗馬クラブ兼牧場「アニマル・ベジテイション・カレッジ」では、将来、馬に関わる仕事につくことを目指す若者たちが、乗馬や馬の生態について2、3年かけて学ぶ。いわば馬の専門学校だ。
 中に入ると、遠くから蹄鉄(ていてつ)をたたく音が聞こえる。高温にして蹄鉄の形を整え、馬のひづめに当てた時の焼けるにおいが漂ってきた。厩舎(きゅうしゃ)から頭を出してこちらを眺める馬もいれば、ずっと尻を向けている馬もいる。
 馬の体高は1・5メートルを超える。へたに落馬すると大ケガをしかねない。でも、馬を走らせる「馬場」では、騎手志望という渋谷優真さん(16)が、両手を離して馬に乗っていた。
 バランス感覚を鍛える訓練で、自分と馬の重心の位置を重ねるようにするのだという。「馬に乗るのは難しい。でも乗っているだけで楽しい」


 競馬をテレビでよく見ていた父親の影響で、気づいたら馬好きだった。小学生になる前から騎手になりたいと思っていた。はっきり覚えているのは、競走馬ディープインパクトと武豊騎手のコンビ。輝いて見えた。
 小学6年生から毎週末、地元・新潟市内の乗馬クラブに通うようになった。夢は騎手一本。競馬はJRA(日本中央競馬会)の中央競馬と、地方競馬がある。注目の集まるJRAの騎手になりたい。ただ、そのためにはJRA競馬学校に入学しないといけない。年齢や体重が厳格に制限されるのに加え、入学試験では騎手としての適性を厳しく見られる。競争率は約30倍のときもある狭き門だ。
 競馬学校に入るため、中学校を卒業したら馬の専門学校で勉強することにした。友だちはみな普通の高校に進む。自分だけが違う道。不安がないと言えばうそになる。でも夢が勝った。2015年春、友だちは「がんばってね」と送り出してくれた・・・

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