【お知らせ】WEB新書は閉店しました。

社会・メディア
朝日新聞社

サービス残業は犯罪です 生きにくい職場を変える法

初出:2015年10月12日〜10月15日
WEB新書発売:2015年11月5日
朝日新聞

このエントリーをはてなブックマークに追加

 「今月の残業、100時間超え」と自慢気に話す同僚、有給休暇を申し出ると嫌な顔をする上司、早めに仕事を片付けると、追加の仕事を振られ、気付けば今日も終電……そんな光景が、あなたの周囲にも広がっていませんか? 日本の労働生産性は、先進国中最低。残業を前提とした体制のため、約6割の女性が妊娠を機に退職、少子高齢化の遠因ともなっています。「サービス残業は犯罪行為だ。他人の時間という資産を盗んでおいて、金を払わないのは窃盗と変わらない」。長時間労働が当然視された会社を退職し「脱社畜」をテーマとしてブログを書き続けるブロガー、残業追放で成果を上げる企業など、さまざまな事例を元に、生きやすい社会のあり方を考えます。

◇残業漬け、私はごめんだ
◇育児と両立、妻に偏る負担
◇仕事人間世代「残業、成長のため」
◇定年の夫、忍び寄る孤立化
◇入りたいのは休める会社
◇ノー残業、決断の陰に妻・娘
◇過労死防げぬ職場、なお
◇長く働くより「濃く働く」


残業漬け、私はごめんだ

 長時間労働を嫌って大企業を辞めた男性が綴(つづ)るブログがある。
 脱社畜――。会社との距離をどうとるべきかをブロガーの日野瑛太郎さん(30)がそんな題名で書くサイトに月10万人が訪れる。
 日野さんは「『長時間労働はいいこと』という意識が最も嫌でした」と振り返る。東大大学院在学中にITベンチャーを立ち上げたが2年ほどで経営が行き詰まり、東証1部上場の大手ソフト会社に就職。そこで見たのは、長時間労働を前提にした企業文化だった。
 「今月の残業、100時間超え」と自慢げに話す同僚や、有給休暇を申し出ると嫌な顔をする上司……。早めに仕事を片付けても追加の業務をどんどん振られ、残業時間が月50時間、70時間と延びていった。
 「仕事のために生きているんじゃなくて、生きるために仕事をしている」「サービス残業は犯罪行為だ。他人の時間という資産を盗んでおいて、金を払わないのは窃盗と変わらない」
 日々の思いをブログに書き始めると、「漠然と感じていたことを言語化してくれた」と予想以上の反響が集まり、本を出版するほどになった。一方で、ブログには「仕事にやりがいを感じて長時間労働をしている人もいる」という批判もある。
 2年前、約2年間勤めたその会社を辞めた日野さんは「やりがいを持って仕事に打ち込んでいる人を批判するつもりはない。多くの人は会社と自分の距離をうまく取れない『社畜』にはなりたくないと思っているけれど、どうしていいか分からないのではないか」と話す。
 日野さんが疑問を感じた「月50時間」の残業は、毎日2〜3時間程度残業することを意味し、多くの日本企業で日常的に見られる長さだ。ふつうの企業に広がる長時間労働が男性や女性に何をもたらしているのか、考えたい・・・

このページのトップに戻る