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経済・雇用
朝日新聞社

日本経済は結局どうなのか GDP、CPI、実質賃金などから読み解く

初出:2015年10月9日〜10月22日
WEB新書発売:2015年11月12日
朝日新聞

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 アベノミクスは日本をどこへ向かわせようとしているのか? 日本経済の実情は、いったいどう考えればいいのか? 8つの経済指標をやさしく読み解きながら、日本経済の明日を占います。【紹介する指標】GDP(国内総生産)、CPI(消費者物価指数)、実質賃金指数、個人消費、 訪日外国人消費額、法人企業統計、設備投資額、住宅ローン金利

◇第1章 景気の良しあしを見るには
◇第2章 物価が下がるって悪いこと?
◇第3章 実質賃金、本当に伸びているの?
◇第4章 個人消費、回復したの?
◇第5章 訪日客の消費額、どのくらい?
◇第6章 進む円安、暮らしにプラス?
◇第7章 製造業の「国内回帰」進んだ?
◇第8章 住宅ローン金利、なぜ低水準?


第1章 景気の良しあしを見るには

 《最近のニュースから》 安倍晋三首相は2015年9月24日の記者会見で、新たな「3本の矢」を提唱。「GDP600兆円の達成を明確な目標に掲げたい」と宣言し、経済や社会保障に焦点を当てる姿勢を鮮明にした。(2015年10月9日現在)

[GDP]――国の経済、全体像を映す
 「GDP600兆円」は、15年10月7日の閣議で政府の基本方針として正式に決められた。GDPは「Gross Domestic Product」の略で、国内総生産と訳される。国内でつくられたモノやサービスの付加価値の合計をとらえた指標だ。
 幅広いデータを網羅していて、国の経済の全体像や変化をみるのに最も適している。内閣府が3カ月(四半期)単位で速報を出し、もとにする統計は家計調査や建築物着工統計など、主なものだけで74種類。これを「個人の消費」「企業の設備投資」「政府の公共事業」といった、お金の使い方ごとに足しあわせる。同じような基準で計算する海外の国とも比較ができ、過去とくらべた変化の割合は「経済成長率」と言われる。賃金の動きとも関係が深く、私たちの暮らし向きを考える指針にもなる。
 首相が会見で使った「600兆円」は、合計金額をそのまま表した名目GDPだが、経済成長率は一般的に実質GDPを使う。物価の上昇や下落をのぞいて、好不調の変化をよりはっきりつかむためだ。
 15年4〜6月期の実質GDPの金額は、この状況が1年を通じて同じだったと仮定して換算した金額にして、約529兆円だった。安倍政権が発足した12年10〜12月期の約517兆円より、約12兆円多い。


 輸出は約12兆円増えたが、個人消費は約2兆円減った。日本では、GDPの約6割がスーパーの買い物などの個人消費。消費が盛り上がらなければモノやサービスの動きは鈍くなり、経済全体の動きにも大きく響く。だからこそ、政府はGDPの数値を重要視して、消費税率の引き上げ時期や公共事業などの経済対策の必要性を判断している。



[日経平均株価]――人間の心理で値動き
 景気はこの先、良くなりそうなのか、悪くなりそうなのか。こうした人間の心理で動く指標もある。代表的なものが「日経平均株価」。東京証券取引所1部に上場する約1900社のうち、代表的な225銘柄の平均を日本経済新聞社がまとめている。「東証株価指数(TOPIX)」は、東証1部上場の全銘柄の時価総額を指数化している。
 日経平均は15年4月、15年ぶりに2万円台を回復した。株価は企業の将来の利益や成長を予測するものだが、中国の景気減速が表面化した夏以降は、企業への悪影響や悲観的すぎるといった見方が交錯。株価は世界の株式市場で乱高下した・・・

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