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教育・子育て
朝日新聞社

慶応高校・青春スクロール 男ばかり18クラス「無政府状態」

初出:2015年9月4日〜11月6日
WEB新書発売:2015年11月19日
朝日新聞

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 通称・塾高。卒業生は著名人も多く、病理医の向井万起男さん、JOC会長・竹田恒和さん、ローソン社長・玉塚元一さん、タレントのミッツ・マングローブさん、日本画家の千住博さん、歌舞伎俳優の市川右近さん……。「塾高はいわば『無政府状態』だったが、なぜかバランスの取れた小社会ができていた」と振り返るのは慶大スポーツ医学研究センターの石田浩之准教授。教師も細かいことは言わず、様々な個性が共存していたという。「男ばかり18クラスで圧がすごかった」と笑うのはコンサドーレ札幌のFW都倉賢選手。個性豊かで自由だった学校生活を卒業生たちが語る。

◇第1章 公平さと厳しさ 真の教員と出会った
◇第2章 自由を謳歌、個性輝かせ目指した未来
◇第3章 もがき、遊び、目標達成…起業の原点に
◇第4章 個性さまざま、立ち位置考えた3年間
◇第5章 自由満喫、楽しさも悔しさも学んだ
◇第6章 大人社会へのプロセス、テレビの顔も
◇第7章 芸術の道、人の輪が支えてくれた
◇第8章 能・歌舞伎、「外」の世界も芸の肥やし
◇第9章 将来へエネルギーをため「力」培う


第1章 公平さと厳しさ 真の教員と出会った

 慶応高校(塾高)からは多くの人材が各界に輩出しているが、中でも1966年卒の17期は多彩な顔ぶれがそろう。
 病理医の向井万起男(68)は2年の時、脳脊髄(せきずい)膜炎で緊急入院して2日間意識を失った。退院後も風邪をひいただけで再発を心配する毎日だったが、「今思えば疾病恐怖という神経症。生死をさまよう経験をし、医者になってから患者さんへの思いやりを持てるようになった」。
 病気で期末試験を受けられなかった時、英語教師が後日、追試とは別の問題で試験をしてくれた。「公平さと厳しさを持つ教員のかがみ。自分が教える立場になってからも時々、思い出します」。妻は日本人女性初の宇宙飛行士、向井千秋(63)だ。


 17期には日本オリンピック委員会(JOC)会長の竹田恒和(67)もいる。高校時代は馬術部。2年の時に東京五輪があり、学校を休んで軽井沢まで馬術競技を見に行った。「世界のレベルに感動した」。馬は騎手を信頼しないと障害物を飛べない。不安な気持ちへの思いやりが大切だ。「人間の信頼関係、コミュニケーションと全く一緒。馬術部で学んだことは、今の仕事にも生きています」


 向井、竹田と普通部(中学)から同級なのが、元駐米大使の藤崎一郎(68)。高校時代、トルストイの『戦争と平和』やスタンダールの『赤と黒』など多くの本を読んだことが「人生を豊かにし、外交官時代にも役立った」と振り返る・・・

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