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科学・環境
朝日新聞社

相対性理論100周年 その後何がわかったか 何がわかりつつあるのか

初出:2015年11月8日、11月15日
WEB新書発売:2015年11月26日
朝日新聞

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 アインシュタインの一般相対性理論が完成して、2015年11月でちょうど100年の月日がたつ。20世紀の物理学に革命を起こし、人々の世界観や宇宙観を塗り替えた理論は、どのようにして生まれたのか? そして、理論の発表後、物理学はどのように発展してきたのか? 欧州宇宙機関の宇宙観測装置「LISAパスファインダー」、東京大宇宙線研究所などが進める大型低温重力波望遠鏡「KAGRA」など、宇宙の始原に迫る最新の研究計画の動向も踏まえ、相対論が開いた地平を紹介する。

◇証明続く「予言」の数々
◇重力波で迫る宇宙誕生


証明続く「予言」の数々

◎物理学に革命、世界観覆した
 アインシュタインの業績でよく知られているのは、特殊相対性理論(1905年)だ。
 光の速度は絶対不変で、物をどこまで加速しても光速を超えないこと、空間の長さや時間の流れは運動によって伸び縮みする相対的なものであることを示した。エネルギーは質量に光速の2乗をかけたものと等しいという有名な法則(E=mc?)もここから導かれる。
 その10年後に生まれた一般相対性理論は、特殊相対論を拡張し、より普遍的な理論を作る試みから生まれた。その集大成が「重力場の方程式」(別名アインシュタイン方程式)だ。方程式からは、時空がゆがむ、光が曲がる、重力の波が伝わるといった不思議な現象が導かれる。
 「アインシュタインの『予言』を実際の観測で見つけ出すことで、人類は一般相対論の正しさを証明してきた。それがこの100年だった」。東北大の二間瀬敏史教授はこう話す。
 二間瀬さんが研究するブラックホールも、この方程式から導かれる。地球全体をパチンコ玉大の大きさに圧縮するほどの大きな密度で、極めて強い重力が働く。光を含めてあらゆるものを吸い込む。人間はもちろん近寄れないが、相対論の計算で「風景」を描ける。ブラックホールの周りを周回すると、七色に輝く光の中を進んでいるように見えるそうだ。

◎皆既日食で観測
 一般相対論が生まれたきっかけは、1907年の「ひらめき」だ。それまでのニュートン力学では重力は遠くの物体にも瞬時に伝わるとされており、光速を超えないとする特殊相対論との矛盾を解く必要があった。
 ひらめきとはこうだ。ロケットが地上に静止していると、中の人は重力を感じるが、自由落下していると重力を感じない。これは、「感じない」のではなく、実際に重力が消えたのだとアインシュタインは考えた。
 例えば、電車が発進・停止すると、乗客は引き戻されたりつんのめったりする。電車の加速度に応じて「力」が消えたり現れたりするのだ。重力もまったく同じで、ある空間が加速運動することと、重力が働くことは等しい。これを「等価原理」といい、ここから重力によって光が曲がる結論が導かれた。
 どういうことか。エレベーターのかごの壁に穴をあけ、光を入れる実験を考える・・・

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