世相・風俗
朝日新聞社

それでも夫婦別姓ダメですか 女性閣僚3人が旧姓のいま

2015年12月17日
(9100文字)
朝日新聞

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 「夫婦は同姓」「女性は離婚後6カ月は再婚できない」とする民法の規定は憲法に違反しないか。最高裁大法廷の判決が注目されたが、夫婦同姓は「合憲」と判断した。夫婦どちらかの姓が選べるが、実際には96%が夫の姓。共働き世帯が専業主婦世帯を大きく上回り、自分の姓で仕事の実績を積みたい女性たちもいる。安倍内閣は2014年9月、5人の女性閣僚を登用、うち3人が旧姓を使っていた。「違憲」とした再婚禁止期間は、DNA型鑑定で親子関係がわかる現在では時代遅れと指摘されていた。家族のあり方が変わる中、結婚をめぐる法律の現状と課題を検証した。

◇第1章 結婚をめぐる法律の現状
◇第2章 旧姓使用や事実婚 困ることは?
◇第3章 夫婦別姓 子の姓はどうなる?
◇第4章 国際結婚で姓はどうなる?
◇第5章 夫婦別姓 各政党の立場は?
◇第6章 同姓・別姓 海外の制度は?
◇第7章 再婚禁止期間 なぜ女性だけ?
◇第8章 戸籍のない子 どうして?


第1章 結婚をめぐる法律の現状

◎同姓規定、背景に「家制度」
 横浜市に住む女性(30)は3年前、結婚で姓を変えた。銀行口座、運転免許証、パスポート、クレジットカード3枚……。日常生活の様々な手続きを終えるまでに約1カ月かかった。
 一方、勤務する会社では、「名字を変えると、取引先に覚えてもらえない」と思い、夫の姓より珍しい旧姓を「通称」として使い続けることにした。
 今の民法750条は、夫婦は結婚により「夫または妻の氏を称する」と定める。夫婦のどちらかの姓を選べるはずだが、実際には結婚した女性の9割以上が夫の姓になっている。この女性も「夫が私の名字になるなんて、結婚のときに考えもしなかった」という。
 背景には、明治時代から根付いている慣習がある。
 広く国民が姓を持つようになった明治時代。当初は夫婦別姓も認められていた。だが、1898(明治31)年に施行された明治民法は、「戸主及び家族はその家の氏を称す」と定めた。姓は「家名」とされ、多くの場合、妻が夫の「家」に入る形で姓を変えるようになった。
 戦後の日本国憲法は「男女平等」を定め、1948(昭和23)年に施行された新しい民法では「家制度」が廃止された。結婚した夫婦は、親の戸籍から独立して新しい戸籍を作ることに。夫婦の姓の決め方も検討されたが、慶応大の犬伏由子教授(家族法)によると、「それまでの現実の共同生活と関連づけられ、十分な論議はなく夫婦は同姓とされた」という。連合国軍総司令部(GHQ)の指摘もあり、「夫または妻の氏を称する」と形式的には平等になったが、妻が姓を変える方が圧倒的に多い実態が続いた。
 85年に国連の女性差別撤廃条約を日本が批准すると、女性の差別につながる法律の条文の見直しが課題になった。法相の諮問機関である「法制審議会」は96年、夫婦が希望すれば別々の姓を選べる「選択的夫婦別姓」などを柱とする民法改正案をまとめた。
 だが、「家族の崩壊につながる」などと反発の声が政界にあり、改正案は国会に提出されなかった。
 それから20年近く。さらに時代は変わっている。
 民法改正案が公表された翌97年、「共働き世帯」の数が「専業主婦世帯」の数を逆転した。総務省の調査では、2013年には共働き世帯は1065万世帯で、専業主婦世帯を320万世帯も上回っている。女性の平均初婚年齢も上がり、働く年数も延びた。
 自分の姓で仕事の実績を積み、生まれ育った姓に愛着がある。改姓で自己喪失感を抱く――。判決が言い渡される訴訟で、原告の女性たちはそう訴えている・・・

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それでも夫婦別姓ダメですか 女性閣僚3人が旧姓のいま
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「夫婦は同姓」「女性は離婚後6カ月は再婚できない」とする民法の規定は憲法に違反しないか。最高裁大法廷の判決が注目されたが、夫婦同姓は「合憲」と判断した。夫婦どちらかの姓が選べるが、実際には96%が夫の姓。共働き世帯が専業主婦世帯を大きく上回り、自分の姓で仕事の実績を積みたい女性たちもいる。安倍内閣は2014年9月、5人の女性閣僚を登用、うち3人が旧姓を使っていた。「違憲」とした再婚禁止期間は、DNA型鑑定で親子関係がわかる現在では時代遅れと指摘されていた。家族のあり方が変わる中、結婚をめぐる法律の現状と課題を検証した。[掲載]朝日新聞(2015年11月25日〜12月5日、9100字)

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