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経済・雇用
朝日新聞社

資生堂リメイク 縦割り組織、シェア半減

初出:2016年1月27日〜1月30日
WEB新書発売:2016年2月12日
朝日新聞

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 日本初の洋風調剤薬局として東京・銀座で創業した資生堂。戦後は美容部員を育て、成長を続けた。しかし、80年代からドラッグストアなどが台頭。美白や低価格に特化した競合相手が増え、シェアは30年で半減した。企画と営業の責任のなすり合いもよくあった。「縦割り組織の社風こそが課題」。2014年4月に外部登用された新社長は、本社や工場・研究所で働く従業員に企業カラーの赤い法被を着せ、イベントの売り場づくりや試供品の配布をさせた。名付けて「イチガンプロジェクト」。中身から変わろうとする資生堂を追った。

◇第1章 改革迫られた美の老舗
◇第2章 「お客様起点」で動くんだ
◇第3章 「作る人」「売る人」壊せ縦割り
◇第4章 「欧米メーカーをギャフンと」


第1章 改革迫られた美の老舗

◎時代の変化見逃しシェア半減
 「キーンコーン、カーンコーン」。校舎のチャイムが鳴り、教室の戸が開く。制服姿の女子高校生12人がほほえみ、こちらにウィンクを投げかけてくる――。
 話題の動画「High School Girl? メーク女子高生のヒミツ」。2分半の映像は「だれでもカワイクしちゃいます」というメッセージで終わる。2015年10月、動画投稿サイト「ユーチューブ」に登場すると、再生回数は16年1月26日時点で880万回を超えた。


 動画は1分を過ぎ、急に時間を巻き戻し始める。プロによるメイクが落ち、かつらも外されて現れたのは、みんな男子高校生。ツイッターなどのSNSでは「化粧ってすごい」「CMやばい」といった反響があふれる。
 つくったのは資生堂だ。違った性別に見せてしまうほどメイクには力があることを、若い人に伝えたい。企画したメディア戦略室の仙田浩一郎(43)は「会社の課題は若者を振り向かせられるか。『お母さんのブランド』というイメージを破りたい」と話す。動画は、新しい姿を見せる実験でもある。
    *  *
 『現実を直視する。』
 資生堂は、最新業績をまとめたアニュアルレポート2015で、表紙をめくったページの冒頭から危機感をあらわにした。長く美を追求してきたが、期待に応える成長ができていない、といった自戒の言葉が並ぶ。
 いったいなぜ? 企業好感度は1990年代半ば以降も上昇基調だ。女性の幹部登用や、仕事と育児・介護の両立を支える取り組みが日本企業としては進んでいることも手伝っている。だが、そうした「外見」とは裏腹に、悩ましい実態を抱える。
 経済産業省によると国内の化粧品出荷額はこの20年、1兆4千億円ほどで横ばい。一方、資生堂の国内売上高は97年度の5286億円がピークで、14年度は3656億円に落ちた。シェアは30年で半減し、花王が06年にカネボウ化粧品を買収してからは国内2位が続く・・・

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