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経済・雇用
朝日新聞社

うまくいくのかマイナス金利 デンマークの経験

初出:2016年2月4日〜2月6日
WEB新書発売:2016年2月18日
朝日新聞

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 2016年2月16日、日本銀行は「マイナス金利政策」に踏み切った。導入決定に市場はひとまず株高・円安で反応し、長期金利は急低下しました。どんな仕組みで物価を上げようとしているのか、私たちの生活にどんな影響があるのか、導入の先輩である、デンマーク国立銀行総裁のインタビューを交えてまとめます。

◇第1章 銀行に貸し出し増促す
◇第2章 暮らしにどう影響?
◇第3章 景気よくなるの?
◇第4章 「マイナス金利拡大も」/デンマーク国立銀のラース・ローデ総裁


第1章 銀行に貸し出し増促す

 ふつうはお金を一定期間、銀行に預けると、利息がもらえる。ところが、お金を預けると逆に銀行に利息分のお金を取られて損をしてしまうというのが、マイナス金利の考え方だ。
 ただ、日銀の新政策は、そうしたあべこべの金利を一般の預金者に課すものではない。銀行などの金融機関は、他の金融機関などとのやり取りのために日銀にお金を預けており、その一部から日銀が利息分のお金を取るのが、今回の「マイナス金利政策」だ。
 金融機関のお金の預け先は、日銀にある「当座預金口座」と呼ばれる口座だ。日銀は金融緩和策として、金融機関が持つ国債などを大量に買い取り、この口座にその代金を振り込んでいる。その残高は2016年1月末で約260兆円。日銀はこの大半に年0・1%の利息をつけてきた。
 16年2月16日から、残高を三つに分けて金利をそれぞれ0・1%、0%、マイナス0・1%とする。マイナス金利になるのは16日以降に積み上がる残高で、金融機関はこの口座に置きっ放しにすると、利息分を日銀に取られて損をする。
 そのため、金融機関はよりもうかる企業や個人への貸し出しや投資を増やそうとし、結果的に景気が良くなったり、物価が上がったりすると日銀は期待する。いわば残高の一部に「罰金」を課し、貸し出し増などを促す政策だ。残高全てをマイナス金利にしなかったのは、金融機関の損が大きくなりすぎ、経営が悪くなるのを避けるためだ。
 日銀がこの口座の一部の金利をマイナス0・1%にすると、これが金融機関同士の取引の目安となり、短期のお金の貸し借りの金利もこの水準に近づいていく。より期間が長い国債などの金利にも影響が及び、市場の金利の水準が全体的に押し下げられる。
 国債の金利を目安に決められているさまざまな金融商品の金利も下がる。個人や企業は、住宅ローンなどの借金がしやすくなる。外国為替市場では、より金利が高い外国の通貨を買って円を売る動きが強まって円安が進み、輸出や外国人観光客が増える可能性がある。一方で、銀行預金の金利や、投資信託や保険など運用商品の利回りが下がるといったデメリットも出てくる。円安が進めば、輸入品の値段も上がる・・・

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