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教育・子育て
朝日新聞社

政治って何だろう? 学食にカウンター席ができた

初出:2016年2月4日〜2月7日
WEB新書発売:2016年2月18日
朝日新聞

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 東京・吉祥寺にある成蹊高校の食堂。「テーブル席は体育会系の部活に占領され、1人では座りづらい」。ある生徒の一言で、有志の生徒と教員でつくる団体「スクール・ダイバーシティ」が学校側とかけあい、カウンター席が数日でできた。身近な課題を話し合い、改善につなげる。他にも、家庭状況調書は「父」「母」の欄に両親の名前を書く形式だったが、離婚家庭もあるからと、見直しを求めた。2016年、18歳選挙権が導入される。デモや投票だけでなく、政治や社会に参加するということは? 各地の高校生の姿を紹介する。

◇第1章 10代のデモ、変ですか?
◇第2章 「多様性」認め合い話し合う
◇第3章 踏み出す社会はどんな場所?
◇第4章 授業で知った、多様な外の世界


第1章 10代のデモ、変ですか?

 2016年1月の金曜日の夜、東京・渋谷駅近くの貸し会議室に、LINE(ライン)で連絡を取り合った高校生6人が三々五々、集まってきた。机に菓子パンやペットボトルが並ぶ。「明日何時?」「終わったらご飯行こう」「先に言ってよ。明日は美容院だよー」
 6人は、安保法制反対のデモや勉強会を企画する高校生グループ「T―ns SOWL(ティーンズ ソウル)」のメンバー。翌日の勉強会の準備のために集まった。
 30分遅れて、都立高校2年のあいねさん(17)がやってきた。マネジャーを務めるサッカー部の練習後に駆けつけた。
 議論がにぎやかになる。「2月のデモさ、高校生100人くらい集めたいよね」「誰でも分かるコールがいい」「友達連れてきてよ」「最近誘いづらくてさ」。ホワイトボードが「人を集めるには」「同世代」といった文字で埋まっていく。


     *
 あいねさんが初めてデモに行ったのは高1の12月、特定秘密保護法施行の日だった。「やばい法律」という漠然とした感覚を確かめたいと思った。デモで、大学生が声を上げる姿に衝撃を受けた。「あんなに政治的な思いを真っすぐに口にするの、見たことがなかった」
 ほどなく、安保法制への反対デモにも参加し始めた。国会前での抗議行動で知り合った高校生と一緒に15年7月、ティーンズ・ソウルをつくった。
 一般的なサラリーマン家庭で育った。家で政治の話はしない。デモで「戦争反対」と書かれた横断幕を持たされた時は、「テレビに出ているわよ」と母が不安そうに電話してきた。
 「でも、親はやりたいことを尊重してくれているみたい」という。デモで知り合った大学教授と食事に行ったことを話すと、母は「いい経験だね」と言ってくれた。
 小6のとき、東日本大震災が起き、多くの命が奪われた。原発事故で故郷を追われた人たちが連日、テレビに出ていた。社会のことを考えるようになった原点は、そこにあったように思う。「何が正しくて、何が間違っているのか。無関心で生きていたら気づかない。やばい・・・

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