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教育・子育て
朝日新聞社

あなたは何になってもいいんだよ 日本最初の女子校・フェリス女学院の魅力

初出:2016年1月15日〜2月5日
WEB新書発売:2016年2月25日
朝日新聞

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 明治の初め、自立した女性の育成を目指して開校した日本最古の女子校、フェリス女学院。卒業生は各界で活躍し、女性の未来を切り開いている。自由と進取の気風に満ち溢れた中・高生活を卒業生たちが振り返る。【登場人物=敬称略】鳥海智絵、工藤禎子、荻野アンナ、原由子、中満泉、荒木裕子、吉田千鶴、関谷英里子、阿部彩子、小野田勝美、中浜優、清水志真、小山由美、宮田まゆみ

◇第1章 自立した女性を育む自由な校風
◇第2章 自主性を生む環境、海外にも挑戦
◇第3章 達成感の記憶、いま科学の最先端に
◇第4章 音楽あふれる生活、プロの素地作る


第1章 自立した女性を育む自由な校風

 明治の初め、自立した女性の育成を目指して開校した日本最古の女子校、フェリス女学院。卒業生は各界で活躍し、女性の未来を切り開いている。
 金融界で邦銀初の女性トップとなった野村信託銀行社長、野村ホールディングス執行役員の鳥海智絵(50、1984年卒)。高校時代はバンドを組み、重い機材も自分たちで運ぶなど力仕事は当たり前だった。「女性だけの環境。何かに頼らないというくせがついた」。校庭のビワの木になった実を食べたり、セーラー服の上にスタジャンを着たりしても、怒られることなく自由だった。
 14年の社長就任時、仕事で使ってきた旧姓の「鳥海」が登記規則上使えず、名刺に結婚後の姓と旧姓を併記して規則改定を唱え続けた。15年、規則が改正。「本質を考え、おかしいと思ったら言う。様々な角度からものを見る癖は、自由な校風のフェリスで養われた」と言う。


 メガバンク初の女性役員となった三井住友銀行執行役員の工藤禎子(51、83年卒)は、女性総合職1期生。当時は手探りだった海外の大型事業に融資する「プロジェクトファイナンス」に20年以上携わり、発展途上国に足を運んできた。
 フェリスでは自主性が重んじられた。朝の礼拝では寝ていたこともあったが、振り返ると自分の人生を生きるという教えが自分の軸として残っている。「新しいものに恐れず挑戦する気風。好奇心が育まれたし、どんな時でものびのびできるのはフェリスで培われた」


 芥川賞作家で慶応大文学部教授の荻野アンナ(59、75年卒)も「フェリスにいたから今がある」と言う。カトリック系の女子校から転入。始業式で生徒が笑い、校長をあだ名で呼ぶのを見て「笑っていいし、何を言ってもいいんだ」と意識が変わった。「笑って距離を置いてみる心の余裕はどんな時代も必要。フェリスで学んだ笑いの精神は生きる背骨になっている」
 もう一つの背骨は学校方針の「For Others」(他人のために)。母の介護の傍ら東北の被災地を訪れ、フランスのテロ現場も行った。「家族のためだけではなく、そこから一歩踏み出すという女性教育。市民として、ちゃんと世の中のことを考えないといけないという意識を育てられた」と語る。
 日本の音楽シーンで一線を走り続けるサザンオールスターズの原由子(59、75年卒)も卒業生・・・

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