科学・環境
朝日新聞社

必読!パリ協定 地球温暖化対策の新たなステージ

初出:朝日新聞2016年2月10日〜2月25日
WEB新書発売:2016年3月17日
朝日新聞

このエントリーをはてなブックマークに追加

 新しい地球温暖化対策の国際ルール「パリ協定」が2015年末、パリで開かれた国連気候変動会議(COP21)で採択されました。将来の社会のあり方を変えるともいわれる歴史的な合意です。協定の内容や、課題、暮らしに与える影響を紹介します。

◇第1章 温室ガス「ゼロ」目指す
◇第2章 京都議定書とどう違うの?
◇第3章 化石燃料、どう使えばいいの?
◇第4章 炭素の価格化とは、どういうこと?
◇第5章 温暖化への適応策って何なの?
◇第6章 途上国への1.3兆円支援、何するの?
◇第7章 イノベーションってどういうこと?


第1章 温室ガス「ゼロ」目指す

 パリ協定は、すべての国が二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガスの排出を、今世紀後半までに「実質ゼロ」にすることを目指す初めての国際ルールだ。
 環境相の私的懇談会「気候変動長期戦略懇談会」(座長=大西隆・日本学術会議会長)が2016年1月末にまとめた提言案は、日本政府が12年に閣議決定した「50年に80%削減」を実現するための社会像を示した。環境省は、この延長上に「実質ゼロ社会」はあるとしている。提言案と、懇談会委員、安井至・元国連大学副学長の資料から協定が目指す社会を再現してみた。
 今世紀後半の20XX年――。住宅は断熱性が高まり、灯油ストーブは姿を消した。地中熱を使ったヒートポンプ式のエアコンのおかげで、室温は一年中一定に保たれている。
 晴れている日なら、屋根に乗せた太陽光パネルで作った電気で家の中のエネルギーすべてをまかなうのが常識だ。余った電気は蓄電池や電気自動車にためて、天気の悪い日や夜に使う。オフィスやショッピングセンターなどのビルでは、水素を使って燃料電池を動かし、足りない電気を補っている。
 ガソリン乗用車は、ほぼ見なくなった。パワーのいるトラックやバスは燃料電池やバイオ燃料で動いている。一部の高速道路では、路面や架線から電気を受け取りながら走ることもできる。市街地はコンパクトになり、自転車や小型電気乗用車が行き交う。
 電気の主流は、太陽光や海上に造られた風車からの低炭素電力だ。火力発電所も残っているが、必ずCO2を回収して地中に埋める装置(CCS)がついている。CCSがついたバイオマス発電所もある。燃料はCO2を吸収しながら育つ植物なので、排出は「マイナス」だ。
 安井さんは「日本はエネルギー資源のない国の悲哀を味わってきたが、自然エネ100%の社会ができたら夢のような世界だ」と話す・・・

購入する

この記事の続きは、WEB新書でお読みいただけます。

必読!パリ協定 地球温暖化対策の新たなステージ
216円(税込)

新しい地球温暖化対策の国際ルール「パリ協定」が2015年末、パリで開かれた国連気候変動会議(COP21)で採択されました。将来の社会のあり方を変えるともいわれる歴史的な合意です。協定の内容や、課題、暮らしに与える影響を紹介します。[掲載]朝日新聞(2016年2月10日〜2月25日、8400字)

    スマートフォン、タブレットでも読めます。

    Facebookでのコメント

    このページのトップに戻る