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朝日新聞社

レインボー始めました LGBTが生きやすい社会へ

初出:2016年3月6日〜3月10日
WEB新書発売:2016年3月24日
朝日新聞

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 「12月に大切な仲間が、1人旅立ちました」 。夏のバーベキュー大会にも顔を出してくれた当事者。苦しんでいることを知っていたため、今も悔やむ――社会の理解や支援がまだ十分とはいえないなか、LGBTの人たちは日々何を感じて生きているのだろう。和歌山県を舞台に、草の根で広がりつつある支援の現場と、理解される社会が来ることを望む当事者の思いを取材しました。

◇第1章 私たちはここにいる/広がる認識・支援
◇第2章 レインボー始めました/動き出す自治体
◇第3章 もう誰も逝かないで/今はなき仲間へ
◇第4章 性の悩み相談、占いで/打ち明ける場を
◇第5章 性の多様性、学ぶ機会を/学校・家庭で考える


第1章 私たちはここにいる/広がる認識・支援

◎当事者団体「平等に機会を」
 赤いエナメルの靴にスカートをはいて、手はピースサイン。でも女の子の格好が嫌で顔は涙でぐちゃぐちゃだった。小学校入学時の記念写真。和歌山市で男性として生活する衛沢創(えざわそう)さん(45)の幼いときの話だ。
 当時はまだ「性同一性障害」の言葉がなかった。「自分は男だと思っているのに、周りから女だって言われる」。自分が何者か分からなくなった。
 望む性別で生きる道を知ったのは、それからずっとあとのことだ。28歳で性別適合手術を受け始め、8年前に戸籍の性別を「女性」から「男性」に変えた。
 「和歌山に当事者が悩みを話せる場をつくりたい」。2004年、インターネットで知り合った仲間と交流会を始めた。名前は「チーム紀伊水道」(kii.suidoh@gmail.com)。和歌山市の倉嶋麻理奈さん(57)は、約10年前にこの交流会で衛沢さんと出会い、悩みを打ち明けた。生まれたときは男性で、いまは女性として生きる。「ここがあったから生きられた。自分が助けてもらったから、交流会は続けていかなきゃ」。今は事務局長として会を支える。
 チームは6年目から県人権啓発センター主催の「ふれあい人権フェスタ」に毎年出展。15年には初めてJR和歌山駅前でアピール行動をした。衛沢さんは「LGBTに関心のない人の近くで実例として顔を出すことで、興味を持ってもらえたら」と話す。
 15年で活動12年目を迎えたが、和歌山ではまだLGBTがいないことになっていると感じていた。「海の向こうにしかいないと思っていた」。当事者以外の人から、そんな声も聞いたからだ・・・

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