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医療・健康
朝日新聞社

医療大変動 診療報酬改定で今後の「医」「薬」はこう変わる

初出:2016年3月16日〜3月30日
WEB新書発売:2016年4月14日
朝日新聞

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 医療サービスの公定価格である診療報酬が変わります。高齢化に伴って医療費は年間40兆円を超えて膨らみ続けていますが、私たちが支払う診察料や薬の値段はどうなるのでしょうか。政府の狙いや課題もまじえ、8章構成でお伝えします。

◇第1章 かかりつけ医に手厚
◇第2章 大病院、紹介状ない患者の負担が変わるの?
◇第3章 軽症なら、早めの退院を求められる?
◇第4章 薬剤師も「かかりつけ」になるの?
◇第5章 ジェネリック薬がもっと安くなるの?
◇第6章 急増する認知症患者、どう対応?
◇第7章 がん治療が充実するの?
◇第8章 若者が禁煙治療を受けやすくなるの?


第1章 かかりつけ医に手厚く

 川崎市高津区の「北浜こどもクリニック」に7日、近くに住む鈴木博子さん(31)が風邪で熱を出した長女千紘(ちひろ)ちゃん(2)を連れてきた。ママ友から評判を聞き、千紘ちゃんが生まれてからずっと診てもらっている。北浜直(ただし)院長(39)は子育ての悩み相談にも親身に乗ってくれるといい、「診察も早く、信頼している」と話す。
 内科しか診ない小児科医もいるが、ここは基本的に何でも診る。手に負えなければ、連携する市内の大病院に紹介状を書いて患者をつなぐ。「大病院に行けば良い医療が受けられるという患者の意識を変えていかなければ」と北浜院長。こうした個々の患者の状態を一元的に把握する医師を「かかりつけ医」と呼ぶ。
 政府は医療機関の役割分担を明確にしようとしている。病気になった患者には近くの中小病院や診療所でまず受診することを促し、大病院には重症患者の治療に専念してもらう狙いだ。
 より多くの患者に対応するように、今回の見直しでかかりつけ医の報酬を上げた。北浜院長のような小児科医には「小児かかりつけ診療料」という新しい料金を設定。原則3歳未満の患者をかかりつけ医として診療する同意を得たうえで、4回以上継続して診療したら支払われる。予防接種の助言も条件で、受診する医療機関をすべて把握し、必要なら連携する大病院を紹介する。
 初診でも再診でもこれまでより1回あたり300円報酬が高くなる。患者の窓口負担は原則1〜3割。65歳未満は原則3割なので負担は90円増えるが、3歳未満の医療費は大半の自治体が独自の助成で無料にしている。
 中高年向けのかかりつけ医では「地域包括診療料」の対象が広がる。高血圧、脂質異常症、糖尿病、認知症のうち二つ以上の疾患がある患者を継続的に診ると月1万5030円をまとめて払うもので、条件を常勤医師3人以上から2人以上に緩和する。認知症に重点を置いた「認知症地域包括診療料」も新設。認知症ともう一つの疾患がある患者の場合は、月1万5150円に引き上げる。
 政府は医療費を抑えるため、入院患者を減らして、できるだけ自宅で療養する医療体制を描く。これを担うのが、かかりつけ医による訪問診療だ。今回は休日訪問した場合の報酬を最大1万7千円になるよう手厚くし、きめ細かいケアを期待する。
 在宅医療に特化した医療機関の開設も認める。緊急時に連絡がとれるといったことを条件に、外来患者を受け付けないこともできる。患者の半数以上が重症などであるといった要件を設け、通院できる軽症者を対象にしないようにする・・・

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