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朝日新聞社

終着駅に誘われて 名物コラム「各駅停話」傑作選

初出:2014年8月20日、9月5日、2015年4月16日、7月13日、9月3日、9月4日、9月15日、12月4日、2016年2月15日、3月3日
WEB新書発売:2016年4月14日
朝日新聞

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 様々な人々が交錯する駅にまつわる物語を、路線ごとに紹介する朝日新聞夕刊の名物連載「各駅停話」。今回は、各路線の「終着駅」やそれに準ずる節目の駅を、各路線のストーリーから抜き出した「傑作選」をお届けします。あなたの身近な路線のあの終着駅にも、隠された名ストーリーがあるかも? 【登場する路線と駅】東武スカイツリーライン:東武動物公園、都電荒川線:早稲田、東急東横線:横浜、東京モノレール:羽田空港第2ビル、叡山電鉄:鞍馬駅、埼玉高速鉄道線:浦和美園、いすみ鉄道:上総中野、江ノ島電鉄線:鎌倉 北陸新幹線:金沢、東北新幹線:新青森

◇第1章 東武スカイツリーライン/東武動物公園
◇第2章 都電荒川線/早稲田
◇第3章 東急東横線/横浜
◇第4章 東京モノレール/羽田空港第2ビル
◇第5章 叡山電鉄/鞍馬
◇第6章 埼玉高速鉄道/浦和美園
◇第7章 いすみ鉄道/上総中野
◇第8章 江ノ島電鉄/鎌倉
◇第9章 北陸新幹線/金沢
◇第10章 東北新幹線/新青森


第1章 東武スカイツリーライン/東武動物公園

鉄道ファンの「お宝」ザクザク/「ワクワクの街に」胸躍る
 東京スカイツリー開業(2012年5月)にあわせ、伊勢崎線の一部区間の愛称が「東武スカイツリーライン」になった。最北駅が東武動物公園(埼玉県宮代町)だ。駅名でもあるレジャーランドは年末、イルミネーションを楽しむ恋人や親子連れでにぎわう。


 園内は、SL風のミニ電車が走り、子どもたちをお目当ての遊具まで運ぶ。終点には方向転換用の転車台や平日と土日祝日用の時刻表があり、鉄道ファンも楽しめる本格的なつくりだ。
 鉄道ファン垂涎(すいぜん)ものの「お宝」もあるらしい――。園の担当者にぶつけると、普段は入れないゾウとカバの寝部屋に案内された。よく見ると、柵やおりの素材がレールだ。園の建設時、使わなくなったレールを東武鉄道が提供したという。開園から30年以上経っても、ぐらつきも破損もない。「レールの頑丈さを熟知する鉄道会社ならではの知恵ですね」と動物園事業部の下康浩課長(56)。年に数回の「舞台裏見学会」などで見ることができる。


 「お宝」は駅西口から公園までの道のりにもちりばめられている。駅階段を下りるとすぐ北側に、車両の進路を変える転轍(てんてつ)機(ポイント)のモニュメントが目に入る。その先には長さ1メートルほどのレールと枕木がある。
 群馬方面に向かう伊勢崎線と、栃木方面に向かう日光線の分岐として栄えた駅周辺には04年までの約60年間、機関車や貨車の修理工場があった。当時の面影を残そうと15年2月、宮代町と都市再生機構などが整備した。東武動物公園駅前都市再生事務所の山崎龍二所長(56)は「モニュメントの転轍機はその象徴です」と話す。
 さらに南西の大通り沿いに進むと、町役場隣の「スキップ広場」に古ぼけたSLがたたずむ。1898年の英国製。1966年まで東武で使われた実車で、94年から広場に置かれ、いつでも運転席に乗ることができる。
    ◇
 伊勢崎線は1899年、北千住―久喜間で開業。日光街道の宿場町に途中駅が置かれた。「粕壁」(現春日部)の次駅は「杉戸」の計画だったが、橋の建設費がかかることなどから、実際は川をまたがずに済む西寄りの現在の場所(旧百間(もんま)村、現宮代町)につくられたという。だが、駅名は80年以上も宿場町にちなんだ隣町の「杉戸」を名乗り、地元には不満もあったとか。1981年の動物公園の開園で現駅名に変わり、そんなわだかまりも消えた。
 駅西口前にはまだ約4ヘクタールの工場跡地が残る。スカイツリー開業を機に、東武鉄道は駅前開発の強化駅に位置づけた。大型商業施設や医療施設の誘致を検討。路線名も少し「おしゃれ」になり、住民の期待は高まっている。15年3月まで町都市計画室長だった石塚孝信さん(53)は「駅を下りたらワクワク、ドキドキする街並みをつくりたい」。目指すイメージは、舞浜駅と東京ディズニーリゾートだ・・・

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