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文化・芸能
朝日新聞社

沖縄女子、アメリカ人と結婚してみたら 基地の島の複雑な思い

初出:2016年4月26日〜5月6日
WEB新書発売:2016年5月19日
朝日新聞

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 那覇空港から車で10分ほどのところに、沖縄県立那覇西高校はある。ここは「国際人文科」というちょっと珍しい学科を持つ。22年前、私はここを卒業した。同級生女子81人のうち、確認がとれただけで、6人が国際結婚を経験していた。こうした同級生たちは、不惑を迎えて、どんな人生を送っているのだろう――。古くから東西文化の交流点だった沖縄から、しなやかに世界へ飛び立った女たちの思いを丁寧に追ったルポ。

◇第1章 不惑の同級生たちの「いま」
◇第2章 「遺言書くから」とプロポーズ
◇第3章 その時、故郷を離れられるか
◇第4章 アメリカ住まい、なんくるないさ
◇第5章 広い世界へ、選ぶ強さ


第1章 不惑の同級生たちの「いま」

 那覇空港から車で10分ほどのところに、沖縄県立那覇西高校はある。ここは「国際人文科」というちょっと珍しい学科を持つ。
 この学科は国際社会への寄与を目標に、国際交流に力を入れ、第2外国語も学ぶ。通学区域も、普通科が基本的に那覇市など3市1町なのに対し、国際人文科は県全域だ。
 22年前、私はここを卒業した。そして40歳の節目を迎えた2015年、同級生たちの「いま」を聞いてみると、国際結婚が多いことに気がついた。
 米軍基地の存在ゆえだろう、沖縄で国際結婚は珍しくないと感じる。地元紙のお悔やみ欄には亡くなった人の家族や親戚の名が並ぶが、カタカナ名をしばしば見かける。
 厚生労働省や沖縄県の統計によると、13年に届け出があった国際結婚の比率は全国が3・3%なのに対し、沖縄県は3・9%。全国では夫が日本人という夫婦が約7割だが、沖縄では夫が外国人の夫婦が約8割と逆転する。さらに夫が外国人の場合、全国では韓国・朝鮮人が3割近くでトップだが、沖縄では9割近くがアメリカ人だ。
 1994年に卒業した那覇西高国際人文科の同級生女子81人のうち、確認がとれただけで、6人が国際結婚を経験していた。語学が好き、アメリカを身近に感じる……。様々な理由で集まったかつての女子高生たち、なかでも国際結婚をした同級生たちは、不惑を迎えて、どんな人生を送っているのだろう。
 米カリフォルニア州サンディエゴの空港は青空が広がっていた。海兵隊員の夫と迎えてくれたのは美奈子・ローガン(40)。沖縄で夫と知り合い、遠距離恋愛の末に結婚。映画「トップガン」のロケ地になったサンディエゴ近くの基地の街、オーシャンサイドに暮らして5年半になる。
 ほぼ20年ぶりの再会だ。英語は格段に流暢(りゅうちょう)になっていた。日本語は沖縄方言交じりで、みんなに愛された明るさもそのままだ。大学で写真や美術を勉強している。広い家と、優しい夫。幸せを絵にかいたような彼女だが、もちろん苦労や戸惑いもあった。


 母方の祖母の兄とその家族は、全員が沖縄戦で亡くなった。美奈子も基地反対の集会に出たし、戦跡を巡るバスツアーにも参加した。そのことをアメリカで夫の両親に話すと、静まりかえったという・・・

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