【お知らせ】WEB新書は閉店しました。

社会・メディア
朝日新聞社

風俗やったら人生おしまい? 夜の女性支える人々

初出:2014年6月22日〜2016年5月16日
WEB新書発売:2016年5月26日
朝日新聞

このエントリーをはてなブックマークに追加

 多くの困難や悩みを抱える風俗店で働く女性たち。「夜の世界」で働く女性は、一説には30万人ほどいるとされる。彼女たちを支える新たな動きとその意義を、現場報告と識者インタビューで伝える。

◇第1章 風俗の暗闇照らす無料相談
◇第2章 昼の仕事へ、橋渡し
◇第3章 風俗で働く女性、どうサポート
◇風俗で働く女性を支援する/角間惇一郎さん


第1章 風俗の暗闇照らす無料相談

◎借金・暴力…孤立しがち
 JR池袋駅北口から徒歩数分。とあるマンションの2階。表札すら出ていない玄関ドアを入ると、目の前の扉に「月1回 性病検査の徹底」と、貼り紙があった。手前の部屋には、スマートフォンを手にした女性がいる。ホテルなどで客と会う「デリヘル」と呼ばれる派遣型(無店舗型)風俗店の待機部屋だ。
 2016年3月23日午後。奥の小部屋で弁護士の徳田玲亜さん(29)とソーシャルワーカーの及川博文さん(27)が、女性の話を聞いていた。女性は40歳前後という。


 「バシッとぶたれることがあるんです」。相談開始から20分ほど。女性はハンカチで目頭を押さえながら、抱えている悩みを小声で語り始めた。同居する年上男性から暴力を振るわれるという。女性の月収は5万〜6万円程度で、一人暮らしは厳しい。及川さんは「シェルター」を、パソコンで調べた。女性のような境遇の人が、一時避難できる施設だ。
 風テラス――。風俗店待機部屋で定期的に開かれる無料の生活・法律相談の名前だ。名前には「司法と福祉の光で風俗の暗闇を照らす」という願いが込められている。女性が所属する風俗店グループでは30代後半から70代まで、約200人が働く。徳田さんや及川さんのような専門家が、働く女性たちの悩みやトラブルの相談にのっている。
 9階の部屋では、57歳の女性が相談していた。都内でマンションに住んでいるが、管理費の支払いが滞りがちだ。以前、区の生活相談に行ったが、仕事内容を細かく詮索(せんさく)された。さらに、疎遠な実弟を頼りなさいと言われ、「行政は頼りづらい」。
 この日は、月の支出がいくらなのか、詳しく話をした。女性は全容を把握できていなかったが、相談の結果、収入は多くても10万円しかないのに、支出は毎月10万円程度。これでは管理費が出ない。相談にのった浦崎寛泰弁護士(34)は同居する息子にもっと生活費を負担してもらうことなどを提案した。女性は「言われたことを少しずつ行動に移して、きちんとした生活を送れるようになりたい」と話した・・・

このページのトップに戻る