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経済・雇用
朝日新聞社

正社員の崩壊 ダブルケア社会を乗り越える処方箋

初出:2016年5月22日〜6月19日
WEB新書発売:2016年6月30日
朝日新聞

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 新卒一括採用で入社させた社員を、長時間のサービス残業・休日出勤、断れない異動・転勤・出向などで縛り付け、年功序列の賃金制度で面倒をみる、日本的「正社員」制度が見直しを迫られています。少子高齢化と晩婚化で、親の介護と子どもの育児を両立させなければならない「ダブルケア」世帯が増える一方、正規雇用と非正規雇用の格差が広がり、同一労働同一賃金への社会的要請も強まっているからです。社会の変化に、「働き方」はどう対応すればいいのか? 朝日新聞デジタルでのアンケートなどから探ります。

◇第1章 いいことばかり?
◇第2章 つらいことも
◇第3章 長時間労働
◇第4章 どうすれば
◇第5章 変えられる?


第1章 いいことばかり?

◎「ステータス」守りたい
 アンケートでは、正社員としての働き方を肯定する人が多数派になっています。立場によってさまざまな意見が寄せられています。

 ●「安定した雇用状態で働くことによって、過度な自己アピールや失敗の隠蔽(いんぺい)などが減少すると考えます。業務上の問題点や失敗を包み隠さず共有し、改善していくことで生産力アップにつながります。正社員の方が組織への帰属意識が高いことも組織力の強化につながります」(大阪府・30代女性・正社員)

 ●「正社員というステータスを持っていたために、何千万円という住宅ローンを借りることが出来た。やはり信頼向上に一役も二役も買っていると思う。今後ともこのステータスを大切に守っていきたい」(神奈川県・30代男性・正社員)

 ●「正社員と非正規というくくりではなく、柔軟に働けるようになればいいのにと思う。自らが望んだときに、正規と非正規を行ったり来たりできるようになれば、女性活躍、ダブルケア、非正規の底上げなど、色々な雇用の課題が解決できるのになと思う」(埼玉県・30代女性・正社員)

 ●「過去4回転職をしていますが、保守的なため『希望職種』よりも『正社員雇用』を優先してきました。私の兄は過去一度も正社員として働いたことはなく、自分の『夢』『生き方』を第一に職を選んでいます。個々の考え方とは思いますが……。同一賃金となれば、今まで正社員にこだわって働いてきた二十数年がなんだったのかと考えてしまいます」(東京都・40代女性・正社員)

 ●「私は派遣社員から正社員になった。派遣社員の頃は契約した業務内容だけに沿って仕事をすればよかったので、自分の得意分野を生かせていたと思います。5年後に正社員になり、雇用は安定し福利厚生も充実しボーナスももらっているので経済的には何ら不安はなくなりましたが、会社の都合や上司の意向で異動があるため、今は自分のやりたい仕事とはかけ離れた業務を担当しています。仕事の幅が広がるメリットはありますが、安定雇用を捨ててもやりたい仕事をやるか悩む日々です」(愛知県・30代女性・正社員)

 ●「パートの多い職場で正社員として働いています。経費削減の一環から正社員のパート化が進んではや二十数年だそうですが、パートでだいたいの仕事が回る状態で正社員がどんな役割を果たすべきか、悩みながら働いています。不得手な分野でもパートをマネジメントして顧客満足を上げ続け店舗経営がうまくいくようにしなければならないのですが、経験の薄い社員はうまくいかないことも多く、パートの顔色をうかがいながら仕事をすることもあります」(山形県・20代男性・正社員)

 ●「会計関係です。派遣の方が部下にいますが、スキルアップの機会がないと感じました。守秘義務契約を結んではいても、しょせん会社の業績の数字を扱うような仕事はさせられないので、経理の基本の基本しかやってもらえません。『派遣で10年経理やってます』と言われても、基本の基本をいろんな会社で10年やっているだけでスキルは下の下。それ以上の責任の伴う仕事は任せられる機会もなく、資格を取っても実務が伴わないので評価できない」(神奈川県・40代女性・正社員

◎時間、捧げてきたのに…
 ●「一度レールから外れると正社員として再び働くことが難しくなる世の中が不公平だと思う。新卒至上主義をやめてほしい)・・・

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