【お知らせ】WEB新書は閉店しました。

政治・国際
朝日新聞社

男らしさ・女らしさを求める日本会議 その家族観を知る

初出:2016年6月17日〜6月19日
WEB新書発売:2016年7月28日
朝日新聞

このエントリーをはてなブックマークに追加

 安倍政権に近いと言われる「日本会議」。個人偏重の見直しや伝統的価値観の重視などを求める保守・右派系団体だが、その「家族観」を見てみた。男女の社会的性差からの解放を訴える「ジェンダーフリー」の考え方が広がりつつあるが、日本会議は異議を唱える。当然ながら「選択的夫婦別姓」にも反対で、「先祖からつながる流れから子どもが遮断されてしまう」と懐疑的だ。そんな日本会議を「古くさい」「遅れている」などと批判するのは簡単だが、人間の営みには進歩的な部分と同じぐらい「遅れている」部分があるのも事実。日本会議的な考え方を知っておこう。

◇第1章 「親学」にじむ憲法観
◇第2章 子の権利拡大、認めず
◇第3章 別姓反対、広げた「運動」


第1章 「親学」にじむ憲法観

 安倍政権に近い日本会議は憲法改正に向けた国民運動を全国に広げている。日本会議はどのような社会を目指しているのだろうか。

 「親としての学び」や「親学」という呼び名で、子育てについて学ばせる動きが広がっている。
 熊本県や石川県加賀市などは、「親としての学び」を盛り込んだ家庭教育支援条例を制定。親の学びに関する講座を開く自治体も増えている。
 その根拠になったのが、第1次安倍政権の2006年12月に改正された教育基本法だ。日本会議は00年から改正運動を始めた。超党派の国会議員連盟内にできた「起草委員会」(下村博文委員長)にも、「家庭教育の重視」などを要望。改正法には家庭教育条項が新設され、「保護者は、子の教育について第一義的責任を有する」と明記された。国や自治体による「保護者に対する学習の機会の提供」もうたわれ、全国に広がっていった。
 改正教育基本法成立の数日後にできた「親学推進協会」(富山県)も、独自に親学を広めた。約20の専門学校や短大で親学の授業が行われ、協会が認定した「親学アドバイザー」は1300人以上いる。
 同協会長は明星大学特別教授の高橋史朗氏だ。日本会議によると、高橋氏は現在、日本会議の運動方針作りに関わる政策委員を務める。
 親学という言葉は07年1月、第1次安倍政権の「教育再生会議」第1次報告に、「親として必要な『親学』を学ぶ機会を提供する」と盛り込まれた。
 日本会議は同年3月の理事会で、安倍政権に「親学」普及本部の設置などを求める「教育改革プラン」を決定。自民党が野党だった12年4月には、超党派の「親学推進議員連盟」が発足し、安倍晋三首相が会長に就いた。
 高橋氏は第2次政権の13年からは、内閣府の男女共同参画会議の議員を務める。昨秋には、世界記憶遺産に「南京大虐殺の記録」を登録させないようにするため、外務省の民間協力者として海外に派遣された・・・

このページのトップに戻る