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朝日新聞社

これからの天皇制のカタチ 生前退位が問いかける国の将来

初出:2016年8月9日〜8月13日
WEB新書発売:2016年9月1日
朝日新聞

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 天皇陛下が「生前退位」の意向をにじませる映像を公開した。現在の憲法などにその規定はなく、国民的な議論になりそうだ。そもそも世襲制の君主は近代国家になじまないのだろうか。欧州を見ると、革命で王を処刑した国がある一方、あえて君主制が残ることで独裁を防ぎ、民主主義を守る知恵もあるように見える。そもそも象徴天皇制とは何なのか? 立憲君主制の一種と言って良いのか? 天皇制の将来を探ることは、国の「カタチ」を考えることでもある。

◇第1章 「象徴」とは、追求の末
◇第2章 新時代、受け継ぐ思い
◇第3章 陛下自身の意思、どこまで
◇第4章 摂政置く検討、幾度も直面
◇第5章 「公務を政治利用」批判も


第1章 「象徴」とは、追求の末


◎8年ほど前、陛下「先のこと」言及
 「生前退位」の意向を周囲に示していた天皇陛下が、自らの思いをビデオメッセージという形で広く国民に問いかけた。国内外に大きな反響を呼んだ「お気持ち」は、限られた人数の間で静かに検討が進められてきた。

 「全身全霊をもって象徴の務めを果たしていくことが、難しくなるのではないかと案じています」。天皇陛下はビデオメッセージで、象徴天皇としての率直な思いを明かした。かねて近しい人たちには同様の思いを伝えてきたという。
 「常に先のことを見越して判断することが大切だと思います」。象徴天皇として自らはどうあるべきか。親交のある男性に、陛下は理想とする姿を切々と語った。「先のこと」には、皇室の将来への思いがにじむ。8年ほど前のことだ。
 同じ頃、陛下は変調を訴えた。ストレスによる胃腸炎と診断され、宮内庁幹部が「心労や心痛をじっと耐えていらしたと思う」と明かすなど、体調不良が表面化した時期だった・・・

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