経済・雇用
朝日新聞社

JR九州、30年の悲願成就 東証上場までの道のりの明暗

初出:朝日新聞2016年10月26日〜10月27日
WEB新書発売:2016年11月10日
朝日新聞

このエントリーをはてなブックマークに追加

 2016年10月25日、JR九州が東京証券取引所1部に上場した。事実上国が持っていた株式を売りに出し、完全民営化が実現した。その足元で、私たちのくらしはどう変わっていくのか。その明暗を追う。

◇第1章 JR九州、30年の悲願
◇第2章 進む無人駅化、よぎる廃線
◇第3章 にぎわう駅前、商店街苦境


◇第1章 JR九州、30年の悲願


◎多角化進め不動産に力
 実質破綻(はたん)状態だった国鉄が分割され、会社が誕生してから、ほぼ30年。JR九州が16年10月25日、株式を東京証券取引所に上場し「完全民営化」を果たした。収益性の低いローカル線を多数抱え、北海道、四国と並んで「お荷物」だった「3島会社」の一角は、多角化で経営基盤を強化してきた。
 「30年間の努力、やってきたことが、やっと評価された。非常に喜びを感じた」記者会見した青柳俊彦社長は感慨深げに振り返った。
 JR九州は、1987年4月に発足した。売上高の8割は鉄道収入だったが、路線は不採算。経営安定基金の運用益で赤字を穴埋めしなければ立ちゆかない状態だった。国鉄時代、九州総局管内には2万5千人の職員がいたが、JR九州に移ったのは1万5千人。人員削減という大きな「痛み」を経たが、それでも現在の約9千人から比べると多く、「社員を食べさせるために事業を多角化した」と、ある幹部は話す。
 自動車販売など撤退を余儀なくされた事業もあったが、外食、老人ホーム、ドラッグストア、農業など、JR九州は多くの業種に参入した。30年前の売上高は1298億円だったが、今や4000億円が視野に入るまで増えた。このうち非鉄道収入が6割を超え、「7割までいける」(青柳社長)と意気込む。
 なかでも成長が目立つのが不動産だ。16年3月期、JR九州の営業利益は208億円だったが、不動産事業で204億円を稼いだ。九州内の駅ビル開発だけではない。17年には那覇にホテルを開業するほか、東京・新橋に建設される27階建てビルでも19年にホテルを開業予定。大阪・堺筋本町近くの帝人本社ビルも買い、跡地にマンションを建てる。青柳社長は「首都圏や近畿圏、東南アジアも含めて、利益が出せる物件なら沿線外でも積極的に投資したい」と語る。・・・

購入する

この記事の続きは、WEB新書でお読みいただけます。

JR九州、30年の悲願成就 東証上場までの道のりの明暗
216円(税込)

2016年10月25日、JR九州が東京証券取引所1部に上場した。事実上国が持っていた株式を売りに出し、完全民営化が実現した。その足元で、私たちのくらしはどう変わっていくのか。その明暗を追う。[掲載]朝日新聞(2016年10月26日〜10月27日、6000字)

    スマートフォン、タブレットでも読めます。

    Facebookでのコメント

    このページのトップに戻る