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医療・健康
朝日新聞社

2025年、日本は破綻する? あふれる認知症・さまよう介護難民

初出:2016年9月7日〜9月17日
WEB新書発売:2016年11月17日
朝日新聞

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 「2025年問題」というものがある。戦後まもなく生まれたいわゆる「団塊の世代」が75歳を超えて「後期高齢者」になり、このままでは社会保障制度などが破綻するのではないか、と心配されている。ただ、少子高齢化や核家族化はすでに進んでおり、問題は「想定の範囲内」。すでに手は打たれ始めている。しかし、必ずしも順調ではない。

◇第1章 都心の「介護難民」深刻に
◇第2章 病院から在宅へ/移行進む?
◇第3章 「介護離職ゼロ」どう実現?
◇第4章 介護の担い手、確保できる?
◇第5章 認知症急増/支える仕組みは?
◇第6章 「みとりの場」足りなくなる?
◇第7章 保険料と税の負担、もっと上がる?
◇第8章 医療や介護の費用、どう抑制?


第1章 都心の「介護難民」深刻に

 東京都町田市で2016年2月に開設されたサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)「清風ヒルズ金井」。オートロックの玄関を入ると、案内役のコンシェルジュが出迎え、ゆったりしたラウンジが広がる。バリアフリーで24時間対応の看護や介護の拠点も備え、都のモデル事業に認定された。
 ここに住む池上秀子さん(88)は「職員が家族のように接してくれる。(介護や食事など)全部ついているので安心です」と笑顔で話す。足を痛めて一人暮らしが難しくなり、隣の市から16年2月に移り住んだ。近くには娘夫婦が住み、よく会いに来てくれるという。
 サ高住は11年に政府が枠組みをつくった高齢者施設で、全国に20万戸超ある。少子高齢化や核家族化で高齢者だけの世帯が増え、自宅で過ごすことが難しくなっている人のニーズを受けて建設ラッシュだ。政府は15年12月から建設補助金を1戸あたり原則100万円から120万円に上げ、整備を加速している。
 しかし、高齢者住宅のコンサルティングを手がけるタムラプランニング&オペレーティング(東京)の16年4月時点の調査によると、サ高住の月額費用は東京23区内で平均約20万4千円(家賃、サービス費、食費)と安くはない。神奈川・千葉・埼玉の3県の平均は約15万7千円で、茨城・栃木・群馬は約12万4千円。都心から離れるほど価格は下がるため、住み慣れた地域を離れる人が少なくない。
 茨城県取手市の住宅型有料老人ホーム「ご長寿くらぶ取手藤代」は、デイサービス施設を併設し、日中は介護を受けられる。20人の入居者のうち東京から移り住んだ人が5人、千葉・埼玉からも1人ずついる。
 入居者の女性(81)は15年11月に東京都内のグループホームから移り、月20万円近くだった利用料が15万円ほどに減った。長く都内で一人暮らしをしていたが、認知症の症状が重くなり、グループホームには15年8月に入ったばかり。手取りで月10万円ほどの年金と息子たちの支援では賄いきれなくなった。都内に住む次男(53)は「道が混むと車で2時間かかり、少し不便。だけど、この金額で入れる施設は近くで見つからない・・・

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