政治・国際
朝日新聞社

アウシュビッツ「前」の虐殺 知られざるホロコーストの原点を訪ねる

2016年12月08日
(12400文字)
朝日新聞

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「アウシュビッツだけを見ていると、ホロコーストの原点を見誤る」。100万余人の犠牲者を出したアウシュビッツ強制収容所で虐殺が本格化したのは1943〜44年。41年にすでに始まっていたホロコーストの原点を探るには、アウシュビッツ以前の状況を把握する必要がある、という。舞台は、アウシュビッツより東の「黒い大地」に散らばっている。ホロコーストの原点であるその場に立つことで、これからの虐殺を防ぐヒントを得られないか。2016年4月、欧州に行く機会を得た私は、現地を訪ねた――。人間はどんなメカニズムから虐殺を繰り返すのか。過去の経験からどんな教訓を引き出すべきか。知られざる歴史の地層を掘り返すルポ。

◇第1章 アウシュビッツの東を見よ
◇第2章 右折か直進か、二つの機能
◇第3章 森に消えた「死の工場」
◇第4章 有刺鉄線は越えたが…
◇第5章 立ち尽くす1万7000の石
◇第6章 青い壁の秘密
◇第7章 「ポーランドのエルサレム」で
◇第8章 演出はどこまで必要か
◇第9章 埋められた虐殺の記憶
◇第10章 恐怖が攻撃に転じるとき


第1章 アウシュビッツの東を見よ

 旅のきっかけは、米国の新聞に載った寄稿だった。
 ニューヨーク・タイムズ紙のオピニオン面は、世界の専門家が競って執筆する名物コーナーだ。2015年9月、「次の大虐殺」と題する論考がここに掲載された。ナチス・ドイツによるホロコースト(ユダヤ人大量虐殺)を招いた要因を分析し、将来起こりうる虐殺を警告する内容だ。
 当時、国際問題担当の論説委員としてシリア紛争やウクライナ危機の推移を追っていた私は、この文章を東京で偶然目にした。人間はどんなメカニズムから虐殺を繰り返すのか。過去の経験からどんな教訓を引き出すべきか。かつてルワンダ大虐殺やイラク戦争を取材した時からの疑問に、この書き手は何かの回答を持っているように思えた。
 筆者は、米エール大学のティモシー・スナイダー教授(47)。米国を代表する歴史家だ。中東欧史が専門で、ホロコーストの背景を追った「ブラックアース」(黒い大地)を16年米国で出版して大きな反響を集めていた。・・・

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アウシュビッツ「前」の虐殺 知られざるホロコーストの原点を訪ねる
216円(税込)

「アウシュビッツだけを見ていると、ホロコーストの原点を見誤る」。100万余人の犠牲者を出したアウシュビッツ強制収容所で虐殺が本格化したのは1943〜44年。41年にすでに始まっていたホロコーストの原点を探るには、アウシュビッツ以前の状況を把握する必要がある、という。舞台は、アウシュビッツより東の「黒い大地」に散らばっている。ホロコーストの原点であるその場に立つことで、これからの虐殺を防ぐヒントを得られないか。2016年4月、欧州に行く機会を得た私は、現地を訪ねた――。人間はどんなメカニズムから虐殺を繰り返すのか。過去の経験からどんな教訓を引き出すべきか。知られざる歴史の地層を掘り返すルポ。(2016年10月24日〜11月7日、12400字)

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