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世相・風俗
朝日新聞社

わけあってシングル 90年代、男の結婚事情

初出:1995年2月1日〜2月18日
WEB新書発売:2016年12月8日
朝日新聞

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 シングルの男性が増えた1990年代。国勢調査によると、30代前半の男性の未婚率は70年の12%から90年は33%に、30代後半も5%から19%に上昇した。男たちはなぜ結婚しないのか。あるいはできないのか――。「24歳の時から始めた見合いが16年間で300回を超えた」銀行員40歳。「30近くになって東京で働く地方出身の女なんて、ウチにはふさわしくない」と母親が見合い話を断った歴史研究家32歳。それぞれの事情を追った。

◇第1章 手料理でお待ちします/通じぬ男の誠意
◇第2章 逃がした魚は大きかった
◇第3章 母ほどすてきなひとは/女性つい比較
◇第4章 独りで生きると決めた/不自由感じず
◇第5章 もてちゃってごめん/自由な生活したい
◇第6章 仕事と夢に恋をして/構ってやれず別れ
◇第7章 僕の世界についてくる? アイドル追う
◇第8章 もう家は継ぎたくない/重圧察する女性
◇第9章 笑う門に春は来る? 「もてない」で売る
◇第10章 ひとり妻の去った部屋/時間とお金自由


第1章 手料理でお待ちします/通じぬ男の誠意

 「彼女を部屋に招待し、手料理をごちそうしたい。そして、ありのままの僕を見てほしい」。首都圏の会社員、浅野健さん(三九)は二年前、両親と住む実家を出てマンションに引っ越した。実家では母が家事を切り盛りし、台所に立たせてくれず、得意な料理を彼女に披露するチャンスがない。それに三十九にもなって両親と同居していると、マザコンと思われかねない。



◎亭主関白はイヤだ
 毎朝六時すぎに起き、ゴミを出し、前の晩の残り物で手早く弁当を作る。朝食は栄養のバランスを考えて必ず手作りだ。近くのプールへ行き、五百メートルほど泳いでから出勤する。仕事が終わると、スーパーで夕食の買い物だ。
 ポトフ、サケのムニエル……。料理雑誌は毎月買い、得意なメニューは豊富だ。土曜日にまとめ買いと下ごしらえをする。きんぴらごぼうや肉じゃがを作って冷凍しておく。家計簿もつける。
 「亭主関白で、何もできなかった父のようにはなりたくない。家事を自分ですれば、共働きできるし、料理は自分で作った方がおいしい」
 だが肝心の彼女は、まだ一度も部屋に来てくれない。彼女は五つ年下の同僚。正義感が強く、何事にも前向きで独立心おうせい。理想の女性だ。プロポーズしたが、「仕事が面白くなってきたし、将来のことはじっくり考えたい。もう少し待って・・・

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