経済・雇用
朝日新聞社

仮想通貨で何が変わるか ブロックチェーンが見せる世界

初出:朝日新聞2016年12月7日〜12月14日
WEB新書発売:2017年1月12日
朝日新聞

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 仮想通貨「ビットコイン」は低コストや送金の容易さで注目されるだけでなく、中核技術の「ブロックチェーン」が、金融大手や中央銀行の決済の枠組みを大きく変える可能性を秘めている。一体、この先どんな変化が待ち受けるのか。基本情報から将来の展望までをまとめた。

◇第1章 中国、「採掘」で存在感
◇第2章 お店で支払い、格安で送金も
◇第3章 コイン取引技術に熱視線
◇第4章 地域や社内、活性化に一役


◇第1章 中国、「採掘」で存在感


◎ビットコイン取引網支配 懸念も
 ユーラシア大陸中央部のチベット高原。数千メートル級の山が連なる荒涼とした峡谷に、体育館のような建物5棟がある。薄暗い棟内では計約9千台のコンピューターがうなりをあげていた。
 中国・四川省甘孜(カンゼ)チベット族自治州の州都、康定(ダルツェンド)中心部から車で約2時間30分の場所にある、ネット仮想通貨ビットコインの「採掘工場」だ。

 インターネット上でのビットコインの取引は、例えば、AからBへのコインの送金を、ネット参加者が認証することで成り立つ。最も速く認証した者には、ゲームをクリアした報酬のアイテムのようにコインが与えられる。
 参加者はコインを得るため認証の速度を競う。この建物のような、1秒間に5兆回も計算できる専用コンピューターを並べた「工場」も現れた。まるで金の「採掘」のようだ。
 運営する「ハオBTC」(北京)は、ここで毎月時価1億円相当のコインを採掘している。コンピューターや冷却ファンに使う大量の電気は、隣接する水力発電所から安く調達する。新疆ウイグル自治区ウルムチなどにも施設を持つ。呉鋼CEO(最高経営責任者、39)は「もっと会社は大きくなる。人はまだ足りない」。
 ビットコインのシステムは、2008年に「サトシ・ナカモト」と名乗る人物が考案した。取引データはネットの参加者が管理し、巨大なサーバーは必要ないのが特徴だ。低コストで、特に国をまたいだ送金でメリットが大きい。
 13年の欧州キプロスの金融危機以降、資金の逃避先として注目され、コインを各国の通貨と交換する取引所ができた。14年に取引所マウント・ゴックスの破綻(はたん)などで相場は暴落したが、システムへの信頼度が高まり、1ビットコイン=約9万円と約3年ぶりの高値水準まで値を戻している。
 コインの取引が活発になるのにあわせて、採掘を目指す業者は増えた。高性能の専用コンピューターが続々と登場。電力コストが低い中国が、たちまち一大採掘場になった。・・・

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仮想通貨で何が変わるか ブロックチェーンが見せる世界
216円(税込)

仮想通貨「ビットコイン」は低コストや送金の容易さで注目されるだけでなく、中核技術の「ブロックチェーン」が、金融大手や中央銀行の決済の枠組みを大きく変える可能性を秘めている。一体、この先どんな変化が待ち受けるのか。基本情報から将来の展望までをまとめた。[掲載]朝日新聞(2016年12月7日〜12月14日、5800字)

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