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文化・芸能
朝日新聞社

寺山修司のDNA 若い女性にアングラ人気の怪

初出:2016年2月24日〜2月29日
WEB新書発売:2017年1月26日
朝日新聞

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 演劇人・寺山修司(1935〜83)が死去して久しいが、最近、その作品が若い世代に人気だ。青森県三沢市にある寺山修司記念館は若い女性でにぎわう。本人のリアルな姿は見たことがない、学校の教科書で知った、という世代も多い。安保法制などが議論を呼ぶ中、寺山の反権力的な部分に注目が集まっているとも言われるが、真相はよく分からない。本人がこの世にばらまいたDNAはいま、どんな形をしているのだろうか。

◇第1章 アングラ、若者とりこに/実験演劇集団
◇第2章 カラフルさ、常識を破壊/アートディレクター
◇第3章 「修司の街」へ三沢の挑戦/記念館
◇第4章 自由で過激、原点に焦点/自主映画
◇第5章 「聖地」発信、連携を模索/誘客装置


第1章 アングラ、若者とりこに/実験演劇集団

◎一筋の光求める不安な世相
 寺山修司(1935〜83)がこの世に現れて80年が過ぎ、姿をくらまして30年以上になる。奇才・異才がこの世にばらまいたDNAはいま、どんな形をしているのだろうか。

 札幌市中央区南4条西9丁目の雑居ビル地下1階にアトリエ(稽古場)を構える実験演劇集団「風蝕異人街(ふうしょくいじんがい)」は、「寺山修司作品の上演」を目的に1997年に旗揚げされた。正団員は現在5人。このほかに研修生が3人いる。

 実際には寺山だけを上演しているわけではないが、「寺山に代表される『アングラ』が持つ怪しさや色彩感覚、魂の叫び、匂いが感じられる作品の上演をめざしている」と、劇団主宰者で演出家・劇作家のこしばきこうさん(66)は話す。

    ◇
 2015年8月、ある「珍事」が起こった。
 札幌の演劇祭で、9公演分のチケットが全て1週間前に完売したのだ。上演作品は十八番でもある寺山の「青森県のせむし男」だ。
 「20年近くやってきたが、札幌での寺山はいつも客が4〜5人程度。『役者の方が多い』なんてのがざらで、満席は初めて」とこしばさん。客層も「いかにも昔、アングラが好きでした」というような高齢者ではなく、20〜30代の女性が大多数だった。
 確かに15年は生誕80年、全国的ブームもあった。
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