経済・雇用
朝日新聞社

飽くなき挑戦〔1〕 ロータリーエンジンの半世紀 胎動編

2017年01月26日
(14100文字)
朝日新聞

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 「こいつには苦労させられたよ。もう50年か……」。「夢のエンジン」の開発リーダーを務めた山本健一氏(94)は振り返った――。半世紀前の1967年、東洋工業(マツダ)が世界で初めて量産に成功したロータリーエンジン(RE)は、通常のレシプロエンジンとは発想も構造も根本的に異なり、開発は困難を極めた。当時ベンチャー企業的立場だった広島のいち自動車メーカーが、なぜ「世界初」にこだわったのか? 創業、原爆被災、三輪トラックから四輪へのシフト、そして、REとの出合いと挑戦の決意。日本が一番元気だった時代を駆け抜けた「夢のエンジン」をめぐる長期連載第一部「胎動編」を電子書籍化。

◇第1章 未来へ、駆ける
◇第2章 「車を作ろう、一途に」/被爆から再生へ、気迫の10台
◇第3章 「誠に遺憾至極の事」/戦争が阻んだ、弟との夢
◇第4章 「面白い事言うのー」/響きあう、二人の出会い
◇第5章 「各種をそろえねば」/時代は四輪に、底辺から開発
◇第6章 「うちのもんは、やる」/技術陣を信頼、覚悟の決断
◇第7章 「赤穂浪士を思い出せ」/我こそは…若き47人が集結


第1章 未来へ、駆ける

 今からちょうど半世紀前の1967年5月30日、自動車産業史に名を残すクルマがデビューした。その名は「コスモスポーツ」。レトロフューチャーとでも言おうか、優美なボディーと極端に低い車高。その心臓部には、マツダが世界で初めて量産に成功したロータリーエンジン(RE)が搭載されていた。従来のエンジンとは発想も構造も根底から異なる、画期的な「夢のエンジン」と呼ばれた。
 時は60年代。高度経済成長期を迎え、所得倍増が流行語に。高速道路をはじめとするモータリゼーションが拡大した。消費社会化が進み、クルマは憧れの象徴から手が届くものになった。「右肩上がり」の時代だった。
 当時の自動車業界の中で、マツダのポジションはベンチャーだったと言っていい。国内外で競争が激化していく中、生き残りのため、REに賭けた。
 ピストンの上下運動ではなく、ローターの回転運動を駆動力に変えるREは、小型軽量でハイパワーと利点ばかり。それだけに開発は困難を極めたが、マツダは「ロータリゼーション」という造語まで生み出し、内燃機関の革新を夢見た。
 だが革新的であるがゆえに、追随者は現れない。そこが最大の不幸だった。70年代に入ると、オイルショックが襲う。「ガソリン食い」と評され、独自の戦いを余儀なくされた。そして今、RE搭載車はカタログにはない。その意味では、敗れ去った技術といえる。

 これから1年かけ、その歴史を見ていく。それはなぜか・・・

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飽くなき挑戦〔1〕 ロータリーエンジンの半世紀 胎動編
216円(税込)

「こいつには苦労させられたよ。もう50年か……」。「夢のエンジン」の開発リーダーを務めた山本健一氏(94)は振り返った――。半世紀前の1967年、東洋工業(マツダ)が世界で初めて量産に成功したロータリーエンジン(RE)は、通常のレシプロエンジンとは発想も構造も根本的に異なり、開発は困難を極めた。当時ベンチャー企業的立場だった広島のいち自動車メーカーが、なぜ「世界初」にこだわったのか? 創業、原爆被災、三輪トラックから四輪へのシフト、そして、REとの出合いと挑戦の決意。日本が一番元気だった時代を駆け抜けた「夢のエンジン」をめぐる長期連載第一部「胎動編」を電子書籍化。(2017年1月1日〜1月8日、14100字)

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