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医療・健康
朝日新聞社

C型肝炎ウイルスが消えた 23年間の闘病記

初出:2016年11月7日〜11月11日
WEB新書発売:2017年1月26日
朝日新聞

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 栃木県に住む男性(63)は37歳だった1990年にC型肝炎と診断された。肝炎が進んで、肝硬変や肝臓がんになるのでは、という不安を抱えながら、治療に取り組む。最初は大学病院に40日間入院し、「インターフェロン」の注射薬による治療。しかし、ウイルスを体から排除することができなかった。新薬の治験にも加わり、4度目の挑戦だった2013年、薬「ハーボニー」を1日1回、飲み始めた。2週目の検査結果で、ウイルスを「検出せず」となった。「こんなに体が楽になるなんて」――。国内の感染者が100万〜150万人と推計されるC型肝炎。この2年で大きく変わった治療法も紹介する。

◇第1章 注射で治療めざしたが
◇第2章 難治型、検査数値が悪化
◇第3章 副作用に耐え治験参加
◇第4章 挑戦4度目、治療に成功
◇[情報編] 薬の飲み合わせに注意


第1章 注射で治療めざしたが

 栃木県に住む農業、小野崎猛(おのざきたけし)さん(63)が体の異変に気づいたのは1990年、37歳のときだった。体がひどく疲れ、吐き気がした。農作業にも支障があった。
 病院に行くと、最初は「脂肪肝」と言われた。症状が改善しないので別の病院に行き、最終的に「C型肝炎」と診断された。当時はC型肝炎を調べる検査薬が導入されたばかりだった。小野崎さんにとって、よくわからない病気だった。
 医師から「C型肝炎ウイルスに感染しておきる病気です」と説明された。血液を通して感染すると聞いたが、輸血や手術の経験はない。「なぜ感染したのだろう」。全く察しがつかなかった。
 そのころ2人目の子どもが生まれて、家族も増えた。専業農家として、稲作や野菜栽培を手がけ、仕事は順調で、規模拡大をめざしていた。
 「ここで病気になっているわけにはいかない」と思うものの、当時はC型肝炎にすぐれた治療法がなく気持ちが焦るばかりだった。
 肝臓に悪いことはやめようと、好きだった酒やたばこをやめた。友だちづきあいの酒飲みも減って寂しい思いをした。
 2年後の92年、C型肝炎ウイルスを体から排除することをめざす「インターフェロン」の注射薬による治療が公的医療保険の対象となった。「家族のためにも治す責任がある」と、新しい治療に挑戦することにした。
 この年の春に大学病院に40日間入院した。医療機関でも治療が始まったばかりで、注射を受ける前も慎重に、さまざまな検査を受けた。注射が始まると発熱の副作用に苦しんだが、「熱が出た方が治るのだろう」と思い込み、ひたすら我慢した・・・

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