世相・風俗
朝日新聞社

離婚戦争の中の子供たち 80年代アメリカレポート

初出:朝日新聞1986年6月19日〜7月2日
WEB新書発売:2017年3月2日
朝日新聞

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「俺は非行少年だった。酒も女も麻薬も、一通りやったぜ」。両親が離婚・再婚した16歳のアルバートは、そう言って笑った――。二組に一組が離婚、生まれた子供の三分の二が17歳までに親の離婚を体験する80年代のアメリカ。再再婚も珍しくない「離婚戦争」とも呼ばれる状況の中で、子供たちはどうように複雑な気持ちを乗り越え、ステップファミリーたちとの付き合い方を見つけていったのだろうか? 実際に離婚を経験した子供たちを訪ね歩き、移りゆく家族の姿を見つめた重厚なノンフィクション(1986年に12回にわたって紙面掲載された連載を電子書籍化しました)。

◇第1章 親たちの再婚で生じた複雑な家族関係に悩む
◇第2章 4人の『侵入者』に当惑 大人の事情、理解と反発
◇第3章 血のつながりなお重く 自分の子をまず気遣う
◇第4章 親元離れ男女の愛理解 でも離婚は絶対しない
◇第5章 「いきなり離婚」が最悪 心の準備は子にも必要
◇第6章 「子連れデート」が難問 なじめない親の新恋人
◇第7章 「父2人」に違和感なく それぞれを理解し愛す
◇第8章 権利と義務を平等に分担 近くに住んで共同養育
◇第9章 経験生かし悩みを聞く 10代の問題、よく分かる
◇第10章 原因をはっきり教えて 私のせい?いつも不安
◇第11章 新しいモデル作り必要 「核家族」は過去の神話
◇第12章 したたかに生きる子供 別れた後も両親は必要


第1章 親たちの再婚で生じた複雑な家族関係に悩む

 2組に1組の夫婦が離婚する米国では、毎年200万人余の子供たちが親の離婚に巻き込まれており、その総数は1600万人にものぼっている。離婚率に大きな変化がない限り、80年代に生まれた子供の3分の2は、17歳までに親の離婚を体験することになるという。
 そうした子供たちは、これまでの伝統的家族から、母子家庭、父子家庭、同せい家庭、再婚家庭、離婚者同士の子連れ再婚がもたらす拡大家族、そこに片親だけを同じにする妹や弟が加わる混合家族といった、さまざまな家族形態への適応を強いられている。
 一方、それと歩調を合わせるかのように、親たちに衝撃を与えているもう1つの現象がある。毎年、100万人以上の10代の少女たちが未婚のまま妊娠し、しかも多くの子供たちが、自ら産むことを選択する。この傾向が続けば現在14歳の少女の40%が、20歳になるまでに一度は妊娠を体験することになる。
 いったい子供たちに、何が起こっているのか。親たちの『離婚戦争』の中で子供たちはどう生き残ろうとしているのか。
 いま米国社会をゆるがすこの2つの問題を、子供たちの証言を中心に紹介しよう。

 首都ワシントンで弁護士業を営むビル(48)は、10年前に妻ジェーン(46)と離婚した。9歳の男の子を頭に、4人の子供がいた。子供の養育については、離婚後も父親と母親が共に平等の責任を負う「共同保護養育」と決め、それを実行するために、ビルは一家が住んでいた家を妻に与え、そこから車で数分の所に移り住んだ。
 専業主婦だったジェーンは、離婚を契機に、大学院での専攻を生かして心理療法の仕事を始めた。いまでは多くの患者を得て成功している。再婚はしていないが、3年前から付き合いを続けている恋人がいる。この男性も、離婚して4人の子持ちである。
 子供たちは週の2日間と隔週の週末を父親のもとで暮らし、残りを母親のもとで暮らす。それを10年続けてきた・・・

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この記事の続きは、WEB新書でお読みいただけます。

離婚戦争の中の子供たち 80年代アメリカレポート
216円(税込)

「俺は非行少年だった。酒も女も麻薬も、一通りやったぜ」。両親が離婚・再婚した16歳のアルバートは、そう言って笑った――。二組に一組が離婚、生まれた子供の三分の二が17歳までに親の離婚を体験する80年代のアメリカ。再再婚も珍しくない「離婚戦争」とも呼ばれる状況の中で、子供たちはどうように複雑な気持ちを乗り越え、ステップファミリーたちとの付き合い方を見つけていったのだろうか? 実際に離婚を経験した子供たちを訪ね歩き、移りゆく家族の姿を見つめた重厚なノンフィクション(1986年に12回にわたって紙面掲載された連載を電子書籍化しました)。(1986年6月19日〜7月2日、22700字)

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