医療・健康
朝日新聞社

覚醒剤「やせる」と誘われて 薬物依存症からの脱出

初出:朝日新聞2017年2月6日〜2月10日
WEB新書発売:2017年3月2日
朝日新聞

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 4年間前まで覚醒剤を打っていた麻希さん。学校にも家にも安心できる居場所がなく、大麻やシンナーに手を出した。身長148センチで44キロだった体重は27キロまで落ちた。やせるのがうれしかった。その後、働いていたキャバクラのボーイに「すぐにやせられる方法がある」と誘われたのは覚醒剤。打つと目がさえ、空腹を感じなくなる。自分が強くなる気がした――。入院治療後に回復施設で共同生活をしながら薬物依存症から立ち直った麻希さんの体験を紹介。また、「病気ととらえる」など、治療の取り組み方について専門家に聞いた。

◇第1章 打つと強くなる気がした…
◇第2章 娘の人生、終わってしまう
◇第3章 施設生活、素直さ芽生え
◇第4章 本名に戻り、支える側に
◇第5章 孤立させないことが肝心


第1章 打つと強くなる気がした…


◎手放せなくなり3〜4時間おき/借金重ねる
 大阪市出身の井上麻希(いのうえまき)さん(28)はいま、沖縄県にある依存症回復施設「沖縄GARDEN」で、入所者を支えるスタッフを務めている。回復プログラムを補助し、悩みを聞く日々を送る。自身も、薬物依存症で約4年前まで覚醒剤を打っていた。
 人付き合いが苦手だった。
 小学5年生のときにクラスでいじめがあり、自分もいじめられないように振る舞っているうち、自然とそうなった。環境を変えたくて進んだ女子中学校では、成績は下から5番以内。部活のチアリーディングも途中でやめた。家では両親のけんかが絶えず、自室にこもった。たばこを吸い始め、髪を茶色に染めた。
 男女共学の高校では、入学間もないころからクラスの女子生徒に無視され、「もう学校に来るな」というメールも届いた。学校にも家にも安心できる居場所はなく、摂食障害になった。夏休み前には登校しなくなった。
 地元の先輩に「おもしろいものがある」と誘われ、大麻やシンナーに手を出した。大麻は頭がくらくらするだけだったが、シンナーを吸うと嫌な記憶が消えた。
 身長148センチで、44キロだった体重は27キロまで落ちた。やせるのがうれしかった。
 2006年の冬、働いていたキャバクラのボーイに「すぐにやせられる方法がある」と自宅に誘われた。ついていくと、数人の男女がうつろな表情でくつろいでいた。
 雰囲気から覚醒剤だとわかったが、「いつでもやめられる」と右腕を差し出した・・・

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覚醒剤「やせる」と誘われて 薬物依存症からの脱出
216円(税込)

4年間前まで覚醒剤を打っていた麻希さん。学校にも家にも安心できる居場所がなく、大麻やシンナーに手を出した。身長148センチで44キロだった体重は27キロまで落ちた。やせるのがうれしかった。その後、働いていたキャバクラのボーイに「すぐにやせられる方法がある」と誘われたのは覚醒剤。打つと目がさえ、空腹を感じなくなる。自分が強くなる気がした――。入院治療後に回復施設で共同生活をしながら薬物依存症から立ち直った麻希さんの体験を紹介。また、「病気ととらえる」など、治療の取り組み方について専門家に聞いた。(2017年2月6日〜2月10日、6000字)

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