経済・雇用
朝日新聞社

航空機を支える仕事師たち パイロットだけでは飛べません

初出:朝日新聞2007年7月2日、2011年6月27日、2012年7月9日、11月5日
WEB新書発売:2017年3月23日
朝日新聞

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 華やかなイメージがある空港や飛行機の旅。だが、一般によく知られているのはパイロットや客室乗務員ぐらいではないだろうか。実はその他にも仕事をしているプロは数多くいる。意外に知られていない航空関連の仕事にスポットを当ててみた。民間航空会社のディスパッチャー(気象担当総括)、機内食を作っている会社の担当者、成田空港で滑走路以外での地上誘導を担う「ランプコントローラー」らの仕事を紹介しよう(2007年〜2012年の記事をまとめました。年齢・肩書・事実関係等はすべて記事掲載当時のままです)。


第1章 気象判断するフライト、年間106560便/吉野勝美さん(2007年7月2日紙面掲載)

帰省する親子の姿思い初心に

全日空 ディスパッチャー(気象担当総括)(58歳)

 台風が九州に近づいていた。夜勤明けの空港ロビーで、お土産をいっぱい抱えてうなだれる親子連れとすれ違った。若い母親が小さな娘を諭している。「天気が悪いから帰れないね。あきらめようね」
 その瞬間、「自分が欠航を決めた便だ」とわかった。ふるさとには孫の帰りを待つ祖父母がいる。お盆でどの便も満席、もう帰れないだろう。「あの判断は本当に正しかったのか」。何度も自問自答した。無機的に下した運航判断の裏に、無数の人間の姿があると知った。仕事に疲れた時、30年前の切ない夏を思い出して初心に帰る。
 ディスパッチャーは、目的地や上空の気象を解析し、安全で経済的に飛ぶルートや高度を策定、飛行実施計画書を作る「運航管理者」だ。目的地が悪天候なら上空待機できる燃料搭載量を決め、乱気流を避けた巡航高度を選ぶ。現在は気象総括として羽田空港のOCC(オペレーション・コントロール・センター)でディスパッチャー80人を率いる。監視するフライトは年間約10万6560便におよぶ。
 大学受験に失敗したが浪人する余裕はなかった。自活するため新聞の求人広告を見て全日空に就職する。目標もないまま「いつ辞めようか」と考える日々を送っていた時、航空気象を指導していた恩師から気象の専門書を渡された。おもしろくて一気に引き込まれた。24歳でディスパッチャーの国家試験に合格。さらに物理学も学ぼうと働きながら大学へ4年間通った・・・

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航空機を支える仕事師たち パイロットだけでは飛べません
216円(税込)

華やかなイメージがある空港や飛行機の旅。だが、一般によく知られているのはパイロットや客室乗務員ぐらいではないだろうか。実はその他にも仕事をしているプロは数多くいる。意外に知られていない航空関連の仕事にスポットを当ててみた。民間航空会社のディスパッチャー(気象担当総括)、機内食を作っている会社の担当者、成田空港で滑走路以外での地上誘導を担う「ランプコントローラー」らの仕事を紹介しよう(2007年〜2012年の記事をまとめました。年齢・肩書・事実関係等はすべて記事掲載当時のままです)。(2007年7月2日、2011年6月27日、2012年7月9日、11月5日、7800字)

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