経済・雇用
朝日新聞社

鴻海買収でシャープの何が変わったのか 速い者が遅い者を負かす 

初出:朝日新聞2016年6月1日〜6月3日、2017年2月23日〜2月24日
WEB新書発売:2017年3月30日
朝日新聞

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「シャープが200年続いてほしいと彼女は言った」。台湾の正月が近づく2017年1月22日、台北市郊外で開かれた鴻海精密工業の忘年会で、会長の郭台銘氏は記者たちにこう語った。「彼女」とは2016年夏、傘下に収めたシャープ創業者・早川徳次の娘。その口ぶりには、シャープ再建に向けた自信が込められているかのようだった――。シャープが鴻海の傘下に入って半年の月日が流れた。「有言実行」「信賞必罰」「コスト改革」「ブランド再興」などを軸とする鴻海流改革はシャープの何を変えたのか。買収以降の報道をまとめて振り返る。

◇第1章 〈買収後1〉郭流「支配」、シャープを翻弄(2016年6月1日)
◇第2章 〈買収後2〉「速い者が遅い者を負かす」(2016年6月2日)
◇第3章 〈買収後3〉「最近眠れない」郭氏の弱音(2016年6月3日)
◇第4章 〈買収半年1〉シャープ改革、一気に(2017年2月23日)
◇第5章 〈買収半年2〉液晶拡大、描けぬ「ビジョン」(2017年2月24日)


第1章 〈買収後1〉郭流「支配」、シャープを翻弄(2016年6月1日)


◎リストラ・役員人事も主導
 「こんなに採算が厳しい状況なら2千人減らさないといけない。希望退職なんて甘いことは言っていられない」
 シャープの液晶パネルをつくる亀山工場(三重県亀山市)で、鴻海(ホンハイ)精密工業会長、郭台銘は2016年4月下旬、集まった社員らを前に言い放った。鴻海はシャープを買収する台湾の巨大企業で、郭は創業者だ。買収契約を結んだ4月2日の会見では従業員について聞かれると、「なるべく全員残ってもらえるようにしたい」と話していた。1カ月もたたないうちに、発言は大きく変わった。
 郭の意向に沿うかのように、シャープは人員を減らそうとしている。削減数は国内で2千人ほど、海外を含めれば全社員の15%程度の7千人ほどになる可能性がある。シャープは鴻海との交渉で雇用の原則維持にこだわり、鴻海との合意文書にも盛り込まれたが「空文化」した。
 郭は16年5月12日付でシャープ社員に文書を送った。真剣に経営状況を見た結果として、「やはり人員の削減はすべきであると考えています」と明記した。
 20年以上働く家電部門の男性は言う。「雇用を守るなんて最初から信じていなかった・・・

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鴻海買収でシャープの何が変わったのか 速い者が遅い者を負かす 
216円(税込)

「シャープが200年続いてほしいと彼女は言った」。台湾の正月が近づく2017年1月22日、台北市郊外で開かれた鴻海精密工業の忘年会で、会長の郭台銘氏は記者たちにこう語った。「彼女」とは2016年夏、傘下に収めたシャープ創業者・早川徳次の娘。その口ぶりには、シャープ再建に向けた自信が込められているかのようだった――。シャープが鴻海の傘下に入って半年の月日が流れた。「有言実行」「信賞必罰」「コスト改革」「ブランド再興」などを軸とする鴻海流改革はシャープの何を変えたのか。買収以降の報道をまとめて振り返る。(2016年6月1日〜6月3日、2017年2月23日〜2月24日、7400字)

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