文化・芸能
朝日新聞社

利根川水系川上り 全長322キロの魅力、記者が歩いて探った

初出:朝日新聞2017年1月1〜9日
WEB新書発売:2017年6月15日
朝日新聞

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 全長322キロ、流域面積1万6840平方メートル。関東地方を北から東に貫いて流れる利根川とその支流(渡良瀬川、渡良瀬遊水地、鬼怒川、霞ヶ浦など)には歴史、レジャー、四季折々の自然など、魅力がたっぷりだ。「坂東太郎」とも称される流域面積日本一の大河の魅力を、記者が歩いて探った。

◇第1章 遡る、サケから学ぶ命/魚道・教育・放流…つなぐバトン
◇第2章 流れて、つながる営み
◇第3章 信仰脈々、川へ愛注ぐ/おそれと恵み、背中合わせ
◇第4章 甦る石、育まれた輝き/聞き慣れぬ名物「絶品」
◇第5章 育む真珠、水質も浄化/育む真珠水質も浄化
◇第6章 潤いの源、雪渓の一滴/流域6都県、水の恵み
◇第7章 伝説の河童、語り継ぐ/時代と共に変わるキャラ
◇第8章 守る生命、川とともに/コアジサシ、共生の象徴
◇第9章 鎮魂の場から絆新た/噴火の記憶、流域つなぐ


第1章 遡る、サケから学ぶ命/魚道・教育・放流…つなぐバトン

 関東を潤す大河・利根川。豊かな水が恵みをもたらし、人々の暮らしや歴史を紡いできた。水の旅路をたどれば、水系で織りなされる物語が見えてくる。

 「うわ、目があるよ」
 昨年12月中旬。加須市立大越小学校2年の野本進之助君(7)は、自宅でコップとにらめっこしていた。
 中にはサケの卵が3粒。孵化(ふか)させて、1月の冬休み明けに提出することになっている。3日に1度、コップの水を交換。洗面器に古い水を半分出し、ペットボトルにくみ置いておいた水を入れる。
 「卵に優しくね。そーっとやるんだよ」。父親の育郎さん(39)が付き添い、言葉をかけた。
 卵の保管場所は暗く、涼しい所が適している。アルミホイルでつつんだコップを両手で大事に抱え、水がこぼれないようにすり足で、納戸へ運んだ。
 「100%、卵をかえしてみせる」。進之助君の目が輝く。「放流しても、みんな帰ってきてほしい」
 大越小は2008年から毎年、環境教育の一環で児童による孵化を続ける。今年は78人の全校児童に卵を育ててもらい、2月に近くの利根川で放流する。
 孵化に失敗する子もいる。江原光一校長は「つらい思いをしても、命の大切さが分かれば意義は大きい」と話す。
 同様の取り組みは流域の各県でも。群馬県の高崎青年会議所は30年続けている。この冬は高崎市内の小中学校などに計約6万粒を配った。茨城県河内町の小学校でも水槽で卵を飼育し、孵化させている。帰りを祈って放流するのは、いずこも同じだ・・・

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利根川水系川上り 全長322キロの魅力、記者が歩いて探った
216円(税込)
  • 著者高橋町彰、角拓哉、中村純、猪瀬明博、角詠之、仲田一平、箱谷真司、森厚志
  • 出版社朝日新聞社
  • 出版媒体朝日新聞

全長322キロ、流域面積1万6840平方メートル。関東地方を北から東に貫いて流れる利根川とその支流(渡良瀬川、渡良瀬遊水地、鬼怒川、霞ヶ浦など)には歴史、レジャー、四季折々の自然など、魅力がたっぷりだ。「坂東太郎」とも称される流域面積日本一の大河の魅力を、記者が歩いて探った。(2017年1月1〜9日、12900字)

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