経済・雇用
朝日新聞社

等身大のヤマト運輸 セールスドライバー同乗記

初出:朝日新聞2017年6月22〜24日
WEB新書発売:2017年7月13日
朝日新聞

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 昼過ぎまでに運ぶ荷物は100個弱。休みなく走り回ったが、3割は不在だった……。ネット通販の拡大や人手不足などで労働環境の悪化が懸念されている宅配業界。ヤマト運輸のトラックに同行取材した。労働環境を改善しようと、ヤマトHD(親会社)はサービス残業の実態を調査。宅配業界全体の将来を占う意味でも、ヤマト運輸が変われるかどうかに注目が集まっている。同社の現在の姿をリポートする。

◇第1章 ドライバー、募る不信
◇第2章 「告発」の元ドライバー、晴れぬ思い
◇第3章 12時間で130個、3割再配達


第1章 ドライバー、募る不信

 「申請した通りに未払い残業代が支払われるのか不安だ。まだ支給額すら伝えられていないのに、会社は総額が見通せたと言えるものなのか」。ヤマト運輸で「宅急便」の配達を担う北日本の30代の男性セールスドライバー(SD)はいらだちを隠さない。
 ヤマトの宅配現場では、インターネット通販の普及による荷物量の急増や人手不足で長時間労働が常態化。労働環境を改善しようと、親会社ヤマトホールディングス(HD)が2月以降にサービス残業の実態調査を全社的に始めた。4月中旬には記者会見を開き、「大勢は見えてきた」(大谷友樹上席執行役員)として、約4万7千人の社員に計約190億円の未払い残業代を払うと発表した。
 だが、21日に対象者が約5万9千人、総額は約230億円に増えると修正。これで実態調査に区切りがついたとして、社員ごとの支給額を確定させた上で7月から順次支払う予定も示したが、いまだに支給時期や支給額の説明を受けていない社員が少なくない。
 男性の勤め先の管内で調査が始まったのは3月初め。出退勤記録を元に過去2年分の未払い分の残業時間を調べ、支店長との面談で申請したが、申請が認められたのかも分からない。
 21日の発表後も、会社から具体的な説明はなかった。「現場への説明はいつも後回し。会社は本気できちんと支払う気があるのか。まだ確信が持てない」
 別の管内の営業所で働くSDの男性は、調査の進め方に不信感を抱いている。
 「たばこを吸うよね。その分を含めると、休憩はとっていたんじゃないか」
 面談で支店長からそう言われ、昼間に休憩時間がとれず、サービス残業になった分の時間を申請しづらい雰囲気を感じた。昼間のサービス残業を申請しなかった同僚のSDも数人いるという・・・

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等身大のヤマト運輸 セールスドライバー同乗記
216円(税込)

昼過ぎまでに運ぶ荷物は100個弱。休みなく走り回ったが、3割は不在だった……。ネット通販の拡大や人手不足などで労働環境の悪化が懸念されている宅配業界。ヤマト運輸のトラックに同行取材した。労働環境を改善しようと、ヤマトHD(親会社)はサービス残業の実態を調査。宅配業界全体の将来を占う意味でも、ヤマト運輸が変われるかどうかに注目が集まっている。同社の現在の姿をリポートする。(2017年6月22〜24日、4500字)

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