政治・国際
朝日新聞社

北朝鮮抑留735日 韓国系米国人ケネス・ベーの証言

初出:朝日新聞2017年7月17日〜28日
WEB新書発売:2017年8月31日
朝日新聞

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「野蛮は方法は使わない。だが、全て明らかになる」。2012年11月3日、北朝鮮の秘密警察の要員はこう語った。それが北朝鮮専門の旅行会社を経営していた韓国系米国人、ケネス・ベー氏の、約2年にわたる抑留生活の始まりだった――。「脱走したら銃殺」と言われた教化所(刑務所)、一日600ユーロ(約7万7千円)を請求された病院、形だけの裁判や記者会見、一進一退の解放交渉、そして現れた星条旗が描かれた飛行機……。今なお(2017年8月28日現在)米国人3人、韓国人6人を抑留し続ける北朝鮮の狙いは何か。抑留被害者の貴重な証言から探る。

◇第1章 訪朝18回目、手慣れたはずだった
◇第2章 閉鎖社会、米国ののしる市民
◇第3章 強引な取り調べ、秘密警察の罠
◇第4章 検事3人、役割分担し心理的圧力
◇第5章 教化所で独房暮らし、体重27キロ減
◇第6章 高額入院費を請求、待遇も金次第
◇第7章 壁画を寝ずの番、疲れ切った看護師
◇第8章 丸刈りでインタビュー、「囚人」強調
◇第9章 病室に現れた米国からの使者
◇第10章 機体に星条旗、「これで帰れる」
◇第11章 指導者の力を誇示、やまぬ拘束


第1章 訪朝18回目、手慣れたはずだった

■荷物に映像記録…連行/「私は大事な外交カード」
 2012年11月3日、中朝国境に近い北朝鮮・羅先(ラソン)経済特区。ケネス・ベーが入国管理事務所で通関しようとしたところ、係官がスーツケースを調べ始めた。
 ベーは中国・丹東で北朝鮮専門の旅行会社を経営し、すでに約300人の欧米観光客に添乗。この日が18回目の訪朝だった。小学校訪問やマツタケで有名な名勝、七宝山(チルボサン)訪問などの企画も実現させた。ベーにとって、北朝鮮は手慣れた取引相手のはずだった。
 係官の手元を見ていると、外付けハードディスクが出てきた。ベーはぎくりとした。中国側に置いてくるつもりが、忙しさにかまけて荷物から抜くのを忘れていた。ディスクを持った係官らが移った別室で、人の出入りが激しくなった。
 ディスクには中国でベーが携わった計6年間の文化交流事業が約8千以上の写真や映像とともに収められていた。貧困に苦しむ北朝鮮児童たちを紹介する西欧のドキュメンタリー番組も含まれていた。
 添乗した旅行客を送るため、いったん羅先のホテルに移ることは認められた。
 事態はすぐに暗転した・・・

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北朝鮮抑留735日 韓国系米国人ケネス・ベーの証言
216円(税込)

「野蛮は方法は使わない。だが、全て明らかになる」。2012年11月3日、北朝鮮の秘密警察の要員はこう語った。それが北朝鮮専門の旅行会社を経営していた韓国系米国人、ケネス・ベー氏の、約2年にわたる抑留生活の始まりだった――。「脱走したら銃殺」と言われた教化所(刑務所)、一日600ユーロ(約7万7千円)を請求された病院、形だけの裁判や記者会見、一進一退の解放交渉、そして現れた星条旗が描かれた飛行機……。今なお(2017年8月28日現在)米国人3人、韓国人6人を抑留し続ける北朝鮮の狙いは何か。抑留被害者の貴重な証言から探る。(2017年7月17日〜28日、11500字)

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