教育・子育て
朝日新聞社

テストは廃止みんなで決めた 個人の選択を重んじるフィンランドの教育

初出:朝日新聞2017年7月21日〜31日
WEB新書発売:2017年9月14日
朝日新聞

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「先生と子供たちが話し合い、問題用紙を配って答えるテストをやめた」「時間割に『×』がついた時限は、天気が良ければ外に出て理科の授業をし、児童が落ち着かない時は国語や算数をやめて工芸やゲームに変更する」「気持ちのコントロールや社会性を身につけるためにカードゲームのウノをプレーする」――。経済協力開発機構(OECD)が実施している学習到達度調査(PISA)で常に上位に入る教育大国・フィンランド。だが日本と異なり、入試による「受験競争」はない。重視されるのは、勉強が嫌いでも好きでも、得意でも不得意でも、多様な学びを個人が選択できる環境だ。2016年秋には小学校の学習指導要領が10年ぶりに改訂され、教師が教えるべき「知識」の量が減り、子供が自分で学び、考える授業が増えた。自由が成果を生む秘訣は何か? 自身も高校時代に現地留学の経験を持つ記者が、個人の選択を何よりも尊重するフィンランドの教育の真髄を探ったレポート。

◇第1章 時間割は自分しだい
◇第2章 働いて納税、体験プログラム充実
◇第3章 起業クラス、企画書作っていざ商談
◇第4章 きょうは、算数やめてゲームOK
◇第5章 テストは廃止、みんなで決めた
◇第6章 「読む」=「勉強」、読解力支える
◇第7章 道に迷っても、先生が一緒にいる


第1章 時間割は自分しだい

 フィンランド南部、バンター市のマルティンラークソン高校。2年生の数学の授業が始まると、女子生徒のミラ・オヤレヘトさん(18)は、机を囲む同じグループの女の子に関数の問題の解き方を解説し始めた。
 「教えると、自分が本当に理解しているかよく分かるから」。翌日からテスト週間が始まるというのに、授業中に自分の教科書を開くことはほとんどなかった。
 数学を担当する男性教師ペッカ・ペウラ先生(35)は、全員に向かって講義をすることもなければ、黒板も使わない。その代わり、小さなメモ用紙とペンを手に生徒たちの机の間を歩いて回り、質問があれば一人ひとりを相手にじっくりと解説する。生徒たちが開いている教科書のページはバラバラ。ヘッドホンをつけて、音楽を聴きながら問題を解いている生徒もいる。ペウラ先生は、「高校生にもなれば学力に差がつく。全員を一律に教えても、生徒はついて来られない」と話す。
 学期の最初の授業でペウラ先生は、7週間で学ぶ約100項目の課題が書かれたリストを生徒たちに配った。生徒たちは、「理解でき、友だちにも教えられる」ならば緑色、「たぶん分かった」なら青色と色をつけ、自己評価していく。ミラさんがしていたように、グループの中でお互いに教え合うのも勉強だ。宿題も自分たちで決める・・・

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テストは廃止みんなで決めた 個人の選択を重んじるフィンランドの教育
216円(税込)

「先生と子供たちが話し合い、問題用紙を配って答えるテストをやめた」「時間割に『×』がついた時限は、天気が良ければ外に出て理科の授業をし、児童が落ち着かない時は国語や算数をやめて工芸やゲームに変更する」「気持ちのコントロールや社会性を身につけるためにカードゲームのウノをプレーする」――。経済協力開発機構(OECD)が実施している学習到達度調査(PISA)で常に上位に入る教育大国・フィンランド。だが日本と異なり、入試による「受験競争」はない。重視されるのは、勉強が嫌いでも好きでも、得意でも不得意でも、多様な学びを個人が選択できる環境だ。2016年秋には小学校の学習指導要領が10年ぶりに改訂され、教師が教えるべき「知識」の量が減り、子供が自分で学び、考える授業が増えた。自由が成果を生む秘訣は何か? 自身も高校時代に現地留学の経験を持つ記者が、個人の選択を何よりも尊重するフィンランドの教育の真髄を探ったレポート。(2017年7月21日〜31日、7900字)

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